「シラス壁」は自然素材な上に多機能？メリット・デメリットを徹底解説

近年、住宅における自然素材の魅力が見直されており積極的に取り入れる方が増えています。珪藻土や漆喰、無垢材などが一般的ですが、そのうちの一つが「シラス（白州）」で、主に内壁の左官材料として使われます。あまり聞き馴染みのないキーワードかもしれませんが、自然素材100％な上に快適な空間作りに一役買ってくれる優れた建材です。そこで、今回は「シラス壁」の基礎知識からメリットなどについて詳しく解説します。

このコラムのポイント

・「シラス」には、家の寿命を延ばしたり、健康的に暮らせる住まいにする性能がある。
・ナチュラルな風合いは意匠的にも魅力がある。

自然素材の内装材「シラス壁」とは？メリットは何？

「シラス」は“白州”とも表記され、２万年以上も前に噴出した火山灰が地層となったものを指し、建材として販売されているものも100％自然素材からできています。同じく自然素材由来の珪藻土と混同されがちですが、こちらはプランクトンが蓄積された物質からできていて、接着剤など少量の化学物質が含まれているため、”100％自然素材”とは言い切れません。

シラスは溶岩によって高温で焼成された無機質な天然セラミック物質で、アモルファス（非晶質）に分類されます。

アモルファスとは、結晶構造を持たない物質の状態のことを言います。固体では、原子が規則正しく並んだ結晶と呼ばれるものと、原子が不規則に配列したアモルファス(非晶質)と呼ばれるものの2種類があります。一般に、氷や金属、水晶などの鉱物などは結晶構造で、ガラスなどはアモルファス構造です。
引用：研究.net｜研究用語辞典｜アモルファス

アモルファスは分子構成が安定していないため、周囲の環境に合わせて変化し、消臭・殺菌・イオン化などの性能を発揮します。また、シラスは超微粒子であり小さな穴が無数に開いているため、除湿機能も持ち合わせています。この特性を活かして一般住宅の内壁左官材に用いられており、その効果が実証されています。

では、シラスを使った「シラス壁」の具体的なメリットとはどのような点でしょうか？

メリット①調湿機能

冒頭でもお話しした通り、シラスには高い除湿性能があります。ですから、住まいの湿気を調節し、結露やカビの発生を軽減してくれます。家を長持ちさせるためにも効果的と言えるでしょう。また、夏場にはシラス壁の除湿効果により体感温度が下がるため、エアコンの使用頻度が下がるなど省エネ効果もあります。そして、24時間換気システムなどと併用すると、さらに快適な空間が作れます。

メリット②消臭機能

臭いが気になるお部屋の壁をシラス壁にすれば、高い消臭効果を得られます。一般的な消臭剤と異なるのが、一度吸着した臭い成分を吸着・分解するため再放出しないという点です。ですから、トイレなどのアンモニア臭やタバコ・ペットの臭いが気になる方や、人工的な消臭剤に抵抗がある方にはシラス壁を強くおすすめします。

メリット③除菌効果

シラス壁は気になる臭いを消せるだけではなく、成分に含まれる酸化チタンによって有害物質まで分解してしまいます。空気中の菌を吸着分解できるため、小さいお子さんや高齢の方がいるご家庭におすすめです。ただし、菌を100％死滅させる機能はないので注意しましょう。

除菌効果と加えて注目したいのが、マイナスイオンを出すという点です。シラスの主成分である珪酸塩鉱物がマイナスイオンを作り出すため、空気清浄機を使わずに清々しい空気を保てます。

メリット④質感がナチュラルでおしゃれ・長持ちする

シラス壁は漆喰壁や珪藻土壁と同じような質感を表現でき、お部屋をナチュラルで温かみのある雰囲気にしてくれます。ですから、「一般的なビニルクロスでは物足りない」「高級感のあるおしゃれな部屋にしたい」「天然素材にこだわりたい」という場合におすすめです。また、紫外線に当たっても劣化しにくく、色あせや剥離現象もほどんどないため、こまめにリノベーションをせず長持ちさせたい場合にも適しています。

メリット⑤シックハウス症候群の心配がない

シラスは、何度もお話ししている通り100％自然由来の素材でできています。そのため、そもそもシックハウス症候群を引き起こす物質を含みません。さらに、塗料や接着剤に含まれる揮発性有機化合物（VOC）を吸着する性能もあるため、シックハウス症候群以外にも各種アレルギーや化学物質過敏症を持っている方にも改善効果が期待できます。

「シラス壁」はコロナ対策にも効果あり？抗ウィルスできるの？

シラス壁についてインターネット等で調べていると、「シラス壁_コロナ」「シラス壁_抗ウイルス」というキーワードを見かけます。新型コロナ対策については色々と不明確な情報も出回っていますが、シラス壁に関しては、メーカーである高千穂シラスと研究機関による共同研究データが公開されています。

実験は、新型コロナウイルスと同じ構造に分類されるネココロナウイルスをシラス壁に付け、1分・10分経過時に試験薬で洗い流した後のウイルス量を測定する方法で行われています。

引用元：これからの住宅・建築MAPS｜調湿・除菌に有効な「シラス壁」抗ウイルス効果も実証

シラス壁の性能を過信し過ぎるのは危険ですが、付着ウイルス量は確かに減少するため、手洗い・除菌などの基本的な対策を取りながら、補助的要素でシラス壁を採用することは効果的と言えます。これからのウィズ・コロナ生活に向けて、ぜひシラス壁の採用も検討してみてください。

知っておきたいデメリットや注意点

多機能でおしゃれな質感の「シラス壁」ですが、ビニルクロスとは異なる特性もあるため、知っておくべき注意点が何点かあります。

ビニルクロスと比較すると施工費がかかり、工期も長い
ひび割れた時に補修すると、多少の色違いができる
お手入れや掃除にコツがいる

まず、シラス壁に限らず左官壁で仕上げる場合には、材料費・施工費が少々高くなり、乾燥時間が必要となるためビニルクロスと比べると工期は長くなります。また、人工樹脂などの材料を含んでいないため、建物の小さな振動や建材の収縮によってヒビ割れが発生する可能性もあります。補修キットも販売されていますが、多少の色違いができてしまいます。そして、シラス壁はビニルクロスのように表面をゴシゴシと拭くことはできません。ただし、静電気が発生しないためホコリを引きつけることはなく、シミも霧吹きで水を拭きかけながら掃除をすればある程度は取れます。

このように、一般的に普及しているビニルクロスと比べると少々注意しなくてはいけないポイントはありますが、それに似合うメリットが多いことも事実です。メリット・デメリットの両方を理解して、「シラス壁」があなたのライフスタイルに合うか検討してみましょう。

自然エネルギーや無垢材と合わせてエコで快適な居住空間に

「シラス壁」は、家を快適かつ長寿命にできる優れた建材です。しかし、それだけではその効果を発揮しきれません。太陽光発電システムや高気密・高断熱性能などの自然エネルギーを取り入れる工夫や、無垢フローリング材など温かみのある天然素材と組み合わせることにより、さらに居心地のよいマイホームになります。私たち日建ホームでは、それらを積極的に取り入れた住まいづくりをご提案しております。「省エネ＋快適な住まい」を建てる際には、ぜひお気軽にご相談ください。

家の特長・らしさ

冬暖かく夏涼しい自然素材にこだわるオーダーメイドの家づくり

まとめ｜シラス壁でおしゃれな健康住宅を実現

今回は、「シラス壁」の特徴やメリットなどについて詳しくお話ししました。シラスは自然素材でありながら、私たち人間にとって有益なメリットをたくさん兼ね備えています。家族が長い時間を過ごすマイホームにこそ、機能的且つおしゃれな「シラス壁」を取り入れてみましょう。新築住宅だけではなく既存住宅のリノベーションにも施工できますので、湿気が気になる家や家族の健康が気になる方には「シラス壁」をおすすめします。私たち日建ホームでは建築士やコーディネーターなどの専門家が様々な角度からあなたの素敵なマイホーム作りをお手伝いしますので、ぜひお問い合わせください。