気密性(C値)と自然換気(漏気)の関係についての試算
先日、お客様よりC値に関するお問い合わせを頂きましたので、C値と漏気による熱損失を試算してみました。
まず、C値と漏気量の関係のグラフが以下となります。
例えば、グラフからの求め方は以下のようになります。(試算とは別の条件)
近似式)自然換気量(漏気量)=αA(0.0144CpU^2+0.0049⊿T)^(1/N)
(試算条件)
・一般的な住宅規模を想定(延床120㎡)
・建物気積 約290㎥(120㎡×天井高さ2.4m)
・室内外温度差(ΔT) 15℃
・隙間特性(N) 1.5
・風圧係数影響度(Cp)0.5(住宅地)
・αA総相当隙間面積 C値と延べ面積より算出
・外部風速(U) 2.4m/s
上記条件の場合、概ねC値と漏気の関係は以下のようになります。
C値=1 漏気量 29㎥(換気回数に換算 0.1回)
C値=0.9 漏気量 26㎥(換気回数に換算 0.09回)
C値=0.8 漏気量 22.7㎥(換気回数に換算 0.08回)
・
・
C値=0.1 漏気量 2.8㎥(換気回数に換算 0.01回)
概ねC値の1/10の換気回数となります。
容積で考えると、C値が1のとき約30㎥/hが自然換気で、約 2間(3.64m)×2間(3.64m)× 天井高さ2.4m 程度の部屋の空気が1時間あたりに入れ替わっていると考えると分かりやすいかと思います。
空気が運べる熱量(W)以下とすると、
空気が運べる熱量(W)=0.35W/㎥K×流量(㎥/h)×温度差(K)
漏気による熱損失は、
C値=1の場合 漏気量 29㎥(換気回数に換算 0.1回)
(冬)外気 0℃ 室内 20℃とすると
0.35×29×20 = 203Wの損失
冬の暖房期を11/1~4月20までと想定した場合 計171日なので
203W×24h×171日=833kWh
冷暖房器具はエアコンを使用する前提で、漏気による熱損失を金額に換算します。
エアコンの効率COP3とし電気代を30円/kWhとすると、暖房期の漏気による熱損失の金額は
833kWh×1/3(COP)×30円=8330円の暖房費の損失となる。
これが、C値0.5の場合、
漏気量 14.5㎥(換気回数に換算 0.05回)
(冬)外気 0℃ 室内 20℃とすると
0.35×14.5×20 = 101.5Wの損失
上記の計算の半分なので、年間の漏気による熱損失金額は4115円となる。
同様に冷房期も計算して良いですが、冷房時は一般的にエアコンの効率も良いですし、内外温度差も冬に比べて少ないので、おそらく暖房期の半分以下になるのではないかと思います。
冷暖房費に換算すると、こんなものかと思うかもしれませんが、住み心地などへの影響を考えるとやはりC値は低いほど良いと思います。
(C値毎による住み心地の違いまでの検証は出来ておりませんが、、)
気密が良くなると、壁構成によっては内部結露が発生しやすくなるので、結露計算をして内部結露には発生条件を確認することは必要かと思います。
TAKANAKA