『田園住居地域』とは?2018年に新設された13番目の用途地域の特徴と活用可能性

先日お客様からの質問がきっかけで調べてみました。平成30年(2018年)の都市計画法改正により、「田園住居地域」という新しい用途地域が追加されていました。これは、市街化区域内において農業と住宅の調和を目指すことを目的とした第13番目の用途地域です。

田園住居地域の主な特徴と制限
・農業(主に市街地近郊型農業)と住宅の共存を可能にする
・農地(特に生産緑地)を守りながら宅地との調和を図る
・商業施設や工場などの建築が制限されることで、静かな住環境を保つ
・小規模な農産物直売所などは一定の条件下で許容される


一方で、建築物の用途制限は厳しく、飲食店やコンビニなども原則不可となるため、利便性よりも環境保全が重視される地域です。

なぜ指定が少ない?

自治体の慎重姿勢と田園住居地域は画期的な制度ですが、実際にこの地域を指定した自治体は非常に少ないのが現状で、その背景には以下のような要因があります。
・既存の用途地域との調整が難しい
・農地の維持・管理と住宅開発のバランスが難しい
・開発業者・地権者の利害調整に時間を要する
・インフラ整備や防災上の課題が残る

今後の可能性と工務店としての役割

近年の「田園回帰」や「半農半住」志向の高まりから、自然と共生した住まいづくりを求める層が確実に増えています。その意味で、田園住居地域は潜在的な可能性を秘めており、土地活用や長期的な街づくりを考える上でも注目すべき選択肢です。
私たち工務店としても、都市近郊での家づくりにおいて、こうした制度を正しく理解し、お客様の希望と地域の未来をつなぐ提案を心がけてまいります。

事務所前に広がるのどかな田園風景


塩毛康弐