遮熱シートと住宅の断熱性能 宇宙服の技術から学ぶ「遮熱シート」
遮熱シートと住宅の断熱性
宇宙服の技術から学ぶ「遮熱シート」
この猛暑の中、ニュースや雑誌などで、「宇宙服には1ミリほどの遮熱シートが使われている」と耳にされた方もいらっしゃるかもしれません。
実際に宇宙空間では、日なたは120℃以上、日陰は-150℃以下という極端な温度差があり、宇宙飛行士を守るために特殊な多層遮熱材が活躍しています。
実はこの仕組みは“熱を反射して防ぐ”という点で、私たちの住まいづくりにもヒントを与えてくれるものです。
ただし、宇宙服と住宅では環境条件が大きく異なります。
宇宙では空気が無いので、熱の移動はほぼ「放射」によって起こり、遮熱シートだけで防げますが、空気のある地球ではそうはなりません。

宇宙服 つくばJAXAにで撮影
特に日本の夏や冬の住宅では、「伝導」「対流」「放射」のすべてが関わりますので、遮熱シート単体で宇宙服のような効果を期待するのは難しく、通常の断熱材(グラスウール、発泡断熱材など)と組み合わせて使うことが前提となります。
住宅での遮熱シート活用方法
1.屋根の下地に施工
夏場、屋根からの強い日射熱を反射して、室内の温度上昇を抑える。冷房効率の向上にもつながります。
2.外壁の外張りに施工
外壁に当たる直射日光の熱を跳ね返し、外壁の蓄熱を軽減。断熱材との組み合わせで快適性をアップ。
3.リフォーム時の追加対策
既存住宅の屋根裏や壁に遮熱層をプラスすることで、夏の暑さ対策を強化。
このように、遮熱シートは「断熱材の働きを補助する役割」として用いることで、より快適な室内環境を実現できます。
家の快適性や省エネ性能を考えるとき、遮熱と断熱は車の両輪のような存在です。
断熱=夏の暑さや冬の寒さやに対する冷暖房効率を左右する基本性能
遮熱=夏の強烈な日射から家を守る追加性能
この両方をバランスよく取り入れることが、四季のある日本においてはとても大切と考えます。
私たち工務店でも、お客様の暮らし方や敷地条件に合わせて、最適な組み合わせをご提案しています。
塩毛康弐