無垢材を使えば省エネ? よくある誤解と本当の省エネ住宅
無垢材の魅力
無垢材は自然素材ならではの温かみや、経年変化による味わいが魅力です。床に素足で立ったときの心地よさや木の香りは、人工建材にはない快適性をもたらします。また、木が持つ調湿作用によって室内の湿度がある程度整う効果も期待できます。そのため「無垢材を使えば快適=省エネにつながる」と誤解されることがあります。

床板:赤松無垢材 壁:漆喰塗り壁 天井:杉板無垢材
無垢材と断熱性能の違い
ただし、無垢材そのものが高い断熱性能を持つわけではありません。
省エネ住宅を実現するために欠かせないのは以下の3項目です。
・高性能な断熱材を隙間なく施工する
・熱の出入りを抑える高断熱・高気密の窓やガラスを採用
・太陽光を季節によって上手に取り入れ、又は遮る「パッシブ設計」にする
つまり、無垢材=省エネではなく、「無垢材+断熱・気密・設計の工夫」が揃ってこそ本当の省エネ住宅が実現します。
無垢材の本当の役割
無垢材の役割は「住み心地を高める」ことです。肌触りや温もり、木の香りがある空間は、暮らす人に安心感やリラックスを与えてくれます。
断熱・気密性能が家の性能を支える基盤だとすれば、無垢材は住まいの「質感」や「快適性」を高める大切な要素と言えます。
無垢材を取り入れることで「住み心地の良い家」には近づきますが、それだけで省エネ住宅になるわけではありません。
大切なのは、断熱性能・気密性能、設計上の工夫と、無垢材の心地よさをバランスよく組み合わせること。
これによって、省エネ性と快適性を兼ね備えた理想の住まいが実現します。
塩毛康弐