赤穂浪士討ち入りは 寒い日で夜も長い日
12月14日と聞いて、真っ先に思い浮かぶ出来事のひとつが「赤穂浪士の討ち入り」です。
忠臣蔵として語り継がれ、日本人の精神文化を象徴する物語として、今も多くの人に親しまれています。赤穂浪士の討ち入りがあったのは、元禄15年12月14日(旧暦)。現在の暦(新暦)に換算すると、1703年1月30日ごろ にあたります。現代の感覚では1月下旬、まさに一年で最も寒さが厳しい頃でした。
江戸時代の住まいは、今のように高断熱・高気密ではありません。障子や襖、板戸が中心で、隙間風が入り、室内と屋外の温度差はほとんどなかったと言われています。寒さは「防ぐもの」ではなく、「受け入れて耐えるもの」だったのかもしれません。一方、現代の住まいは大きく進化しました。断熱材や高性能な窓、気密性の向上によって、屋外が厳寒でも室内は安定した暖かさを保つことが出来ます。しかし、その一方で、部屋ごとの温度差が大きい廊下や脱衣室が極端に寒い暖房のある部屋から出ると身体に負担がかかるといった問題も、今なお多くの住宅で見られます。

寒さは「我慢」ではなく「設計」で解決する時代へ
昔の人々は寒さを忍び、重ね着をし、火鉢の周りで身を寄せ合って暮らしていました。それは自然と共に生きる知恵である一方、身体への負担も大きかったはずです。現代では、寒さを我慢するのではなく、住まいの性能そのものを高めることで、暮らしの質を守る という考え方が主流になりつつあります。断熱性を高め、家全体の温度差を小さくすることで、冬でも薄着で過ごせるヒートショックのリスクを減らせる暖房エネルギーを無駄にしないといったメリットが生まれます。
旧暦が「自然のリズム」を大切にしていたように、これからの住まいも、季節の変化を無視するのではなく、上手に付き合う設計 が求められていると感じます。寒い時期にはしっかりと暖かさを守り、暖かい季節には自然の風や日射を活かす。暦だけでなく、実際の寒さ・暑さを「体感」として正しく受け止め、それを住まいづくりに反映させることが、これからの時代の快適な暮らしにつながっていくのではないでしょうか。赤穂浪士の討ち入りの日をきっかけに、「この寒さを、家はどう受け止めてくれているだろう」そんな視点で、住まいを見つめ直してみるのも良いかもしれません。
余談ですが今年最後のふたご座流星群天体ショウを期待していたのですがこの天気では来年に持ち越しとなりました。 残念!!
塩毛康弐










