等時間日影図で分かる「本当に明るい家」とは
「南向きの土地だから、日当たりは大丈夫」家づくりのご相談でよく耳にする言葉です。
しかし、設計の現場では南向き=明るい家とは限らないことを、何度も経験します。その理由を読み解くために欠かせないのが等時間日影図です。日当たりは「感覚」ではなく「時間」で考えなければなりません。等時間日影図とは、冬至の日に、建物の影が何時間どこにかかるかを示した図です。2時間影になる範囲、3時間影になる範囲、4時間影になる範囲を線で表し、日照を「見える化」します。つまり、この場所は、午前中は日が入るが、午後は隣家の影になるといったことが、図面上で分かります。なぜ冬至を基準にするのかというと冬至は、一年で最も太陽高度が低く、最も日影条件が厳しい日だからです。この日にしっかり日照が確保できれば春・秋はさらに良好夏は軒や庇で日射調整が可能という、安定した住環境をつくることができます。

等時間日影図
プラン集の多くは、周囲に建物がないことを前提として理想的な敷地条件で描かれています。しかし実際の敷地には、すでに建っている隣家又は将来建つ可能性のある建物、高さ制限ギリギリの住宅が存在します。これらを考慮せずに間取りを決めると、「完成後に初めて暗さに気づく」ことになります。設計とは、影をコントロールすること。良い設計とは、単に日を入れることではありません。冬は日を取り込む、夏は日を遮る、隣家の影を避ける、自分の家の影を整理するそのために、建物配置、高さ、屋根形状、軒の出を総合的に考えます。

等時間日影図は、その判断のための設計図なのです。明るい家は、偶然ではなく設計でつくられる。「住んでみたら思ったより暗かった」これは決して珍しい話ではありません。しかしそれは、運が悪かったのではなく、日照をきちんと設計していなかったということがほとんどです。
次回は、「南向きでも暗い家がある理由」をテーマに、もう一段具体的に解説します。
塩毛康弐










