敷地調査で設計者が必ず見ている5つのポイント ― 図面の前に現地を見る理由

家づくりの打合せというと、間取りやデザインの話から始まるイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし私たちは、設計に入る前に必ず敷地を見て、周囲の環境を確認することを大切にしています。なぜなら、図面だけでは分からない情報が、現地には数多く存在するからです。

 設計者が最初に確認する5つのポイント

① 隣地の建物が、どの位置に、どの高さで建っているかです。2階建てか、3階建てか、建物が建物が境界線に近いか、

将来建て替えが起きそうか、これらは、日照・通風・視線・圧迫感に大きく影響します。

 ② 日の入り方と影の動きです。時間帯を変えて敷地を見ると、光の入り方や影の伸び方が大きく変わることがあります。

午前中は明るいが、午後は影になる冬はほとんど日が入らない、西日が想像以上に強い、こうした点は、図面や地図だけでは読み取れません。

 ③ 高低差と地盤の状態です。敷地や周辺道路に高低差がある場合、目線の高さ、建物の見え方が大きく変わります。たとえ数十センチの差でも、住んだ時の感覚にははっきり表れます。

 ④ 風の通り道と周辺環境です。敷地の周囲に空き地、川、畑、林や公園があるかどうかで、風の通り方や空気感は大きく変わりますし、将来の建築可能性も含めて考えることで、長く快適な住環境を計画できます。

 ⑤ 音・匂い・視線といった「数値化できない要素」です。交通音、近隣施設の音、視線の抜け、生活臭の流れ、これらは図面では表せませんが暮らしの満足度を大きく左右する要素。現地に立ち、五感で感じることが重要です。

5つのポイント

 ★なぜプラン集だけでは足りないのか

プラン集は、「よくある条件」を想定して作られています。しかし実際の敷地は、一つとして同じものがなく周囲の環境がすべて異なる、将来も変化する可能性があるという前提で考えなければなりません。敷地調査をせずに間取りを決めるということは、地図を見ずに目的地へ向かうようなものです。敷地調査は、設計の「答え探し」私たちにとって敷地調査は、単なる確認作業ではありません。この敷地なら、どこに居場所をつくるかどこから光を入れるかどこを閉じ、どこを開くかその答えを見つけるための、設計の最初の一歩です。

 次回は連載のまとめとして、「その敷地にしか建たない家をつくるということ」をテーマに、完全注文住宅・設計思想・家づくりの本質についてお話しします。

 塩毛康弐