設計者の判断基準・・・土地購入申込前に必ず確認すること③

「この土地、やめた方がいいですか?」と聞かれたとき正直にお伝えしている設計者の判断基準

土地探しのご相談を受けていると、時々こんな質問をいただきます。「この土地、正直どう思いますか?」 「やめた方がいい土地でしょうか?」この質問をされたとき、私たちは必ず良いことも悪いことも両方お伝えするようにしています。なぜなら、土地選びで一番後悔が残るのは「聞いていなかった」「知らなかった」という状態だからです。

体験談 「建てられますが、暮らしはかなり工夫が必要です」

あるご相談では、法的にも問題なく面積も十分な土地でした。ただ現地を見てみると 1.三方を建物に囲まれている 2.冬はほぼ一日中影になる 3.風の抜けも期待できないという条件でした。この場合、「建てられますか?」という質問に対する答えは YES です。しかし、「心地よく暮らせますか?」という問いには、かなりの工夫が必要と正直にお伝えしました。結果としてその方は、土地の購入を見送り、別の候補地で家づくりを進められました。

体験談 条件は厳しいが、設計で解決できるケース

一方で、条件が厳しく見えても設計で十分にカバーできる土地もあります。1.北側が建物でふさがれている 2.南側が道路で視線が気になるといったケースです。この場合は、1.建物配置を工夫する 2.高窓や中庭を活用する 3.居場所を光の取れる位置に集めることで、「想像以上に明るく、落ち着く家」になる可能性があります。

体験談 「正直に言ってもらえて良かった」

以前ご相談を受けた方から、後日こんな言葉をいただきました。「買う前に厳しい話も聞けて良かったです」「夢が壊れたのではなく、冷静になれました」 家づくりは、気持ちが高ぶりやすいものです。だからこそ、一度立ち止まるための第三者の視点が必要だと感じています。土地は、1.良い・悪い 2.正解・不正解で決めるものではありません。その土地で、1.どんな暮らしをしたいのか 2.何を大切にしたいのかによって、判断は変わります。

土地購入申込前に設計者に相談

私たちが「難しい」と判断するポイント

これまでの経験から、特に慎重にお伝えしているのは次のような場合です。1.冬至にほとんど日照が期待できない 2.将来、さらに日照が悪化する可能性が高い 3.常に圧迫感があり逃げ場がない 4.騒音や匂いの影響が避けられない これらは設計だけでは根本的な解決が難しい要素です。

「やめた方がいいですか?」への本当の答え

この質問に対して、私たちは単純に「やめた方がいい」「大丈夫です」とはお答えしません。代わりに、1.何が厳しいのか 2.どこまで改善できるのか 3.何が変えられないのかを、できるだけ具体的にお伝えします。

土地選びで大切にしてほしいこと

「この土地、やめた方がいいですか?」という質問は、決して後ろ向きなものではありません。それは、後悔しない家づくりをしたいという、前向きな問いです。土地を決める前に、良い話も、厳しい話も、両方聞ける相手がいるかどうか。それが、家づくりの結果を大きく左右すると私たちは考えています。

 

塩毛康弐