土地購入前に 最終回
この土地で本当に後悔しない家を建てるために—土地購入決断の前に大切にして欲しいこと
土地が見つかり、家づくりが現実味を帯びてくると、気持ちはどうしても前に進みたくなります。「人気がありそう」「今を逃すと次がないかもしれない」「早く決めた方が良いと言われた」 そんな状況の中で、不安を感じながらも決断される方は少なくありません。
これまで多くのご相談を受けてきて感じるのは、後悔の原因は、判断を誤ったことではなく十分に理解しないまま決めてしまった場合がほとんどです。土地も家も、良い・悪いで単純に分けられるものではありません。後悔しないために大切なのは、次の視点です。
- 冬の一日を、この家でどう過ごすか
- 一番長くいる場所は、心地よさそうか
- 将来も、この環境は受け入れられそうか
これらは、図面や条件表を見ているだけでは見えてきません。「不安がある=悪い土地」ではありません。むしろ、1.条件にクセがある 2.設計の工夫が必要 3.丁寧に向き合う価値がある 土地であることも多いのです。大切なのは、その不安を理解した上で選ぶかどうかです。決断を急がせる言葉に、「皆さん、この段階で決めています」 「今決めないと難しいです」 と言われることもあるかもしれません。もちろん事情は様々ですが、その言葉で気持ちが置き去りになるなら、一度立ち止まっても良いと思います。

土地選び
不思議なことですが、良い点も厳しい点も理解した上で選んだ家は、暮らし始めてから愛着が増していきます。一方で、「聞いていなかったこと」が後から出てくると小さな不満が積み重なってしまいます。私たちは無理に安心させること、不安を押し切って進めることを良い家づくりだとは考えていません。その土地で出来ること出来ないことを整理し、お施主様ご自身が納得して選ぶこと。それが、後悔しない家づくりにつながると信じています。
「この土地で、本当に大丈夫だろうか」 そう感じたときは、それを否定しなくて大丈夫です。その感覚は、これからの暮らしを真剣に考えている証です。土地を決める前に、少し立ち止まり、誰かに相談し、自分たちの言葉で整理してみてください。その先に、納得して選んだ住まいが待っているはずです。
今回迄の『土地購入前に不安をなくす』シリーズ(全5回)では
- 土地選びで感じる不安
- 実際の体験談
- 設計者としての判断基準
をお伝えしてきました。これから家づくりを考える方にとって、少しでも判断の助けになれば幸いです。
塩毛康弐










