全館空調のカビは「運転停止」が原因?24時間稼働で家族の健康を守る方法

全館空調を導入したのに「カビが生えた」という声を耳にして、不安を感じている方もおられるのではないでしょうか。
じつは、全館空調そのものがカビの原因ではなく、誤った使い方や停止が招くトラブルです。
この記事では、千葉県を中心とした関東エリアで注文住宅を手がける工務店「日建ホーム」が、全館空調でカビを防ぐ正しい運転方法と、健康被害を避けるための具体策をご紹介します。
快適で健康的な住まいづくりの参考にしてください。
●カビ予防のコツは「24時間運転」と「湿度40〜60%の管理」の2つです。
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目次
全館空調でカビが発生する原因

全館空調を導入したご家庭で「カビが生えた」という話を聞くと、システム自体に問題があると思われがちです。
しかし、実際には運転方法の誤りやメンテナンス不足が根本的な原因です。
ここでは、全館空調でカビが発生する主な4つの原因を解説します。
1.運転停止による温度差と結露
こまめにスイッチを切ると、運転停止中にダクト内部の温度が室温に近づきます。
再稼働時は冷たい空気が流れ込むため、急激な温度差が生じます。
この温度差が、ダクト内壁や吹出口に結露を発生させ、カビの繁殖を招く原因です。
また、断熱材の不十分な施工や、断熱材が欠損している箇所があると、構造上の問題で結露が起こりやすくなります。
「カビを防ぐために止めないほうがいい」とわかっても24時間稼働による電気代を気にされる方は多くおられます。
以下では、全館空調のランニングコストの実態と、賢く抑える方法について解説しています。
〈関連コラム〉
「全館空調の電気代は高すぎる」と言われる理由|抑える方法やメリット・デメリットも解説
2.フィルターやダクト内部の汚れ
フィルターや熱交換器に蓄積したホコリは、カビにとって格好の栄養源となります。
中でも注意したいのが、結露水を溜める「ドレンパン」と呼ばれる部分です。
ピンク色のぬめりや汚れが溜まると、排水がうまく機能しなくなり、水漏れや本格的なカビ汚染を引き起こします。
普段は目に見えない場所だからこそ、定期的なメンテナンスが欠かせません。
放置すればするほど、カビの温床は広がっていきます。
3.空調システムの停止による空気の停滞
全館空調を止めると、以下のような「空気が動きにくい場所」に湿気が溜まりやすくなります。
- ・クローゼットや押入れの中
- ・家具の裏側
- ・部屋の隅
部屋全体の温度は快適でも、空気が動かない場所では局所的に湿度が高まります。
その結果、気付かないうちにカビが増殖する可能性があります。
目に見えない箇所だからこそ、空気を常に循環させておくことが必要です。
4.新築特有のコンクリートからの水分
新築から1〜2年の住宅では、基礎コンクリートに含まれる水分が少しずつ放出され続けます。
とくに基礎断熱工法を採用している場合、水分の逃げ道が限られるため、床下に湿気がこもりやすくなります。
新築だから安心というわけではなく、初期ほど慎重な運転管理が必要です。
全館空調のカビ予防策と正しい運転方法

カビが発生する条件には、以下の4つがあります。
- ・胞子(空気中に舞う)
- ・栄養源(ホコリ・汚れ)
- ・温度(20〜30℃)
- ・水分・湿度(60%以上)
全館空調システムでは、ダクト内のホコリを完全に取り除くのは現実的ではありません。
カビ対策として効果的なのは、水分のコントロールに集中することです。
湿度管理を徹底すると、他の条件がそろっていてもカビの繁殖を防げます。
ここからは、3つの予防策を見ていきます。
1.24時間運転の徹底
こまめにスイッチを切ると、空調機内部に残った水分が蒸発し、ダクト内の湿度が上昇します。
全館空調は「24時間365日稼働」を前提に設計されており、止めるとかえってカビを招きます。
外出時や就寝時も、停止ではなく設定温度を緩めて運転しましょう。
空気の流れと最低限の除湿を保つことで、機内の湿度上昇を抑えられます。
全館空調の効果を最大限に発揮するには、家の「気密性」が欠かせません。
気密性の高い家にどのようなメリットがあるのか、くわしくはこちらで解説しています。
〈関連コラム〉
『気密性の高い家のメリット・デメリット』解説│ハウスメーカー・工務店の選び方も紹介
2.適切な温度と湿度の設定
カビ予防には、湿度を40〜60%の範囲に保つことが推奨されています。
湿度が60%を超えると、ダクト内の冷えた部分で局所的に相対湿度が100%に達し、結露が起きやすくなります。
夏場はとくに湿気が多いため、再熱除湿モードや除湿機の併用が効果的です。
温度だけでなく、湿度計を使って室内環境を把握することで、カビのリスクを減らせます。
3.定期的なフィルター清掃
フィルター掃除は「2週間に1回」が目安です。
正しい手順で行わないと逆効果になるため注意してください。
【正しい掃除手順】
- ・掃除機で吸う: まず乾いた状態でホコリを取り除く
- ・水洗い: その後に水で洗う(いきなり濡らすとホコリが固まるためNG)
- ・完全に乾燥: 陰干しで乾かしてから取り付ける
全館空調のカビ発生サインとセルフチェック法

カビが疑われる場合は、以下の3つのポイントをご確認ください。
【カビの発生サイン】
| チェック項目 | 具体的なサイン |
|---|---|
| ニオイ | ・冷房や送風の開始直後に「カビ臭い」「酸っぱい」臭いがする |
| 目視 | ・吹出口や周辺に「ポツポツとした黒い点」がある (※奥のダクト内部でも繁殖している証拠です) |
| 体調 | ・家にいるときだけ「咳・くしゃみ・目のかゆみ」が出る ・外出すると体調が良くなる ・夏風邪が長引く |
これらのサインが確認されたら、フィルター掃除だけでは解決できないため、専門業者によるダクト清掃を検討しましょう。
カビが引き起こす健康被害とリスク

カビによる健康被害は多岐にわたります。
【カビによる健康被害】
| 健康被害・病名 | 特徴・症状 |
|---|---|
| アレルギー性鼻炎・結膜炎 | くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど、花粉症に似た症状。 |
| アトピー性皮膚炎 | カビへの接触や吸入により、皮膚の炎症やかゆみが悪化する。 |
| 気管支喘息 | カビの胞子がアレルゲンとなり、咳や呼吸困難などの発作を誘発する。 |
| 夏型過敏性肺炎 | トリコスポロンというカビが原因。風邪に似た咳や微熱が続き、家を離れると治まるのが特徴。 |
| シックハウス症候群 | 頭痛、めまい、倦怠感など。カビやカビが出す揮発性物質が原因となることも。 |
カビだけでなく、室内の空気環境が体に合わないと「息苦しい」「気持ち悪い」と感じるケースもあります。
以下では、高気密高断熱な住まいで健康的に暮らすために知っておきたい、デメリットと対策について解説しています。
〈関連コラム〉
【高気密高断熱の家】住んでみて感じる7つのデメリット「気持ち悪い」「息苦しい」はどうして?対策・メリットも紹介
まとめ|全館空調は24時間稼働させて家族の健康を守ろう

全館空調でカビを防ぐには、24時間運転が基本です。
こまめなON/OFFは、かえって結露やカビを招く原因になります。
湿度を40〜60%に保ち、フィルター清掃を2週間に1回行うことで、快適で安全な室内環境が維持できます。
全館空調を正しく使えば、家族全員の健康を守る頼もしい味方です。
毎日の運転管理とメンテナンスで、安心して暮らせる住まいを実現できます。
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