利根川の風景

朝晩の喧しいセミの声もようやく落ち着いて過ごしやすい毎日になってきました。夕暮れ時にカナカナと鳴く日暮の声を聞くと、夏の終わりも近いと感じます。

日曜日、昼の暑さも一段落したので久しぶりに利根川沿いをサイクリングしました。整備された水田は稲穂の実が充実して黄緑色から黄金色に変わり始めていて、空の青さと水田の黄緑のコントラストが見事だったので、つい自転車を止めて写真に収めました。

利根川の下流に続く平坦で広大な水田は、川の流れが作った自然の産物のように見えますが、整然と区画されて周囲には水路が巡り、すべての水田に水が回る様に微妙に田面が整地されて各水田が用水路で繋がっていることを思うと日本の農業土木の素晴らしさに感心します。

先日NHKの「ブラタモリ」で利根川水系をテーマにした放送があり、番組の中で利根川はかつて暴れ川で河口が東京湾に流れていた川の流れを、江戸幕府の時代に新田の開墾、舟運の開発、水害の軽減、水の確保を目的に、少しずつ東(千葉県側)に付け替える大工事を繰り返して現在の姿になったということでした。

現在の利根川の田園風景が当時の人たちの土木技術と労役の上に成り立っていることを思うと技術屋として何か感慨深いものを感じます。

 

By Hira