住宅と音について(低周波音問題)

前回、住宅と音についてのつづきです。

 

建物と音の問題は、光や温熱環境の対策に比べて難しくなることが多いです。音の伝わり方は、光や熱をコントロールするよりも複雑であることや個々の生活スタイルや受け手の感じ方の違い等個人差によるところも大きく、こうすれば必ず大丈夫だとなかなかいい難い部分があります。

 

こと住宅においては快適な暮らしのために、音を最優先する人というのは少なく、温かくて明るい家が満足された後に出てくる課題とも言えます。

 

社内で低周波音に悩んでいるという話があったので、今回は低周波問題について書いてみます。

 

 低周波音問題の原因として考えられるのは、エアコンなどの室外機や冷蔵庫等ファンモーターや圧縮機を有する機器その他ポンプなどの音や振動が挙げられます。近くに工場や建設現場などがあれば、その中で使用されている機械という可能性もあります。

また、深夜に自動で運転するヒートポンプ給湯器などは、夜の寝静まった静かな時間帯に稼働するので敏感な方は余計に音を感じやすい状況といえます。(便利な世の中になった反面、新たに発生する問題もあるということですね)

 

人が聞こえる周波数は個人差もありますが約20Hzから2万Hzとなりますが、低周波音はその中でも数十Hzまでの騒音になります。人間の耳の感度は3~4KHzで一番感じやすくなっており、それよりも周波数が高くなるほど、または低くなるほど聞こえにくくなるため、人によっては聞こえない方もいらっしゃいます。(聞こえないから問題がないわけではありません)

 

しかし、聞こえる(感じる)方にとっては、通常の騒音よりもたちが悪く対策がやっかいです。

 

低周波音が通常の騒音と違う特徴は、物を振動させるエネルギーが大きいため床や壁を透過しやすいことです。そのため空気中から聞こえる音に加え、建物を伝わる振動を対策することが必要になってきます。特に振動源と固い物同士が繋がっていると振動が伝わりやすいので離してあげる必要があります。

 

機械の下に防振ゴムを挟むなどして解決すればよいのですが、重たい機械では持ち上げてゴムを挟むことすら難しいし、そもそも自分の家の機械でないのでは?なんてことも考えられます。

 

こうなってくると、騒音計を所持・操作できる音の専門業者に調査を依頼して、発生源の特定、音の周波数や大きさを騒音計で測定・観測してもらう等を考えなければなりません。

 

低周波音問題は調査にコストが掛かり、対策にもコストが掛かるやっかいな問題なのです。

 

TAKANAKA

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