釘とビス

今回は、私たちの生活の中で普通に使われている「釘とビス」の話です。

鉄筋コンクリートと鉄骨の建築の世界で経験してきた私が、木造建築に携るようになっておおよそ二年半が過ぎますが、当初、木造建築の現場で使われる釘やビスの種類が沢山あるのに大いに驚きました。たとえば、JIS規格の釘だけでも、N釘、NZ釘、CN釘、ZN釘、BN釘…等々。

実際に、木造の家作りの過程で屋根、床、壁を作るのに万本単位の大量の釘やビスが使われています(内外のボード1枚当たりに約50~90本を使用)。

屋根の野地板、床合板、外壁板、石膏ボード、垂木や間柱を固定するための釘やビスは勿論ですが、他に構造用面材を横方向の力に抵抗するボード耐力壁として貼る際には、仕様毎に性能を確保するための釘やビスの種類、打つピッチ等が細かく規定されており、現場の棟梁さんたちはそれぞれの仕様に合わせて釘やビスを打ち、道具を使い分けています。

また、床面や壁面の他にも、土台と柱、柱と梁、筋交い端部と柱の部材間を固定する構造金物は、専用のビスを使うことで初めて所定の性能を発揮します。現代の木造建築は木と釘とビスで建っていると言っても言い過ぎではないでしょう。

これらの大量の釘やビスを打ち込む棟梁たちの労力は、今ではエア釘打ち機や高性能なビス打ち機を使ってはいますが、それでも大変な作業になりご苦労様です。

ところで、「ビス」と「ネジ」は何処が違うのか考えたことがありますか?

じつは、「ネジ」は軸の側面や内側にらせん状に溝を切ったものの総称で、「ビス」「ボルト」「ナット」も「ネジ」の一種です。ビスのことを木ネジと言いますが、一般には先端が尖ったものを「ビス」、尖っていないものを「ネジ」と使い分けることが多いようです。

写真は、順に屋根の垂木を母屋止める長~いビス(タルキック)、合板や石膏ボードを下地に止めるビス、構造金物のビス、ボード耐力壁の面材の釘打ちです。

By Hira