万葉集に詠まれた秋の七草

昼間の暑さも一段落し、夜中の虫の声が心地よい季節になりました。つい先日のNHKの番組「趣味の園芸」の中で、秋の七草とその由来について紹介していました。

七草粥で身近な春の七草に較べれば、秋の七草は草花の美しさを鑑賞するだけで知名度はそれほど高くありませんが、実は私も昨年訪れた皇居東御苑の野草園に設置されていた秋の七草の案内板を見て興味を持った次第です。

すでにご存じかも知れませんが、秋の七草は万葉集に収められている奈良時代の山上憶良の2首の歌が始まりだそうです。

「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」

「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」

「萩」は草冠に秋と書きます。「尾花」はススキ、「女郎花」はおみなえし、「朝貌」は諸説ありますが今は桔梗が定説になっています。いずれも秋の野原に咲く草花ですが、「葛」「女郎花」「桔梗」は薬用の草花としても昔の人に親しまれていたようです。

現在では秋の七草を身近に見ることは難しくなりましたが、それでも朝の通勤の道すがら秋の七草を探してみると、桔梗、萩、尾花、女郎花などを民家の庭先で見ることが出来ます。

コロナ禍で密の外出を控える中、爽やかな秋空の下で家族で森林公園や植物園などを散策しながら秋の七草を探してみるのも良いでしょう。

ちなみに、秋の七草を覚える上手い語呂合わせがあります。

「おすき(お好き)なふく(服)は?」(お=オミナエシ、す=ススキ、き=キキョウ、な=ナデシコ、ふ=フジバカマ、く=クズ、は=ハギ)

また、五・七・五・七・七の和歌風に「ハギ・キキョウ / クズ・フジバカマ / オミナエシ / オバナ・ナデシコ / 秋の七草」のリズムで口ずさむと覚えやすいようです。

By Hira

 萩(ピンク)

 女郎花(黄色)

 尾花(ススキ)