年代別木造住宅の耐震性

既存木造住宅の耐震性に関して、建てられた年代の耐震規定によって、下表のように分けてみます。

大きく分けると、旧耐震基準、新耐震基準、2000年以降の現行基準となります。
表の中のAは基準法で義務付けられているもの、Bは施工会社に委ねられている部分、Cは記述がないか、水準の低いものとしています。

このように表にしてしまうと、2000年以降の建物の安全性は高いように見えますが(それ以前の建物よりは高いですが)、これは中地震に対して損傷せず、大地震時は倒壊に対して1回は耐える性能があるという意味だと考えてください。

築22年以内の住宅であれば、大地震時でも一応は倒壊はしないかと考えられます。(ここで一応と書いたのは、その建物が基準法通りになっていればの話で、現状においては2階建て住宅(4号建築物)は確認申請で構造チェックが入らないので、構造に関する全ては設計者(施工会社)に委ねられており、各会社で安全性の基準にばらつきがあるためと、実際には劣化も考慮しなければなりませんが設計時では劣化が考慮されていないためです。)

よく1981年以降の建物であれば、ひとまず安心と言われるのは、壁量規定がそれ以降変わっていないからかと思います。ですが、耐力壁の性能を発揮するには、接合部や配置バランスといったことも重要になります。接合部の緊結方法の規定は、2000年以降になりますので、例えば、筋交いの端部が釘で留められているか、金物で留められているかで耐力は変わってきますから、釘留めの場合は安心できないと考えた方がよいです。

配置バランスも同様に、4分割法や偏心率も2000年以降の規定になります。許容応力度計算以外は、4分割法で確認されることも多いかと思いますが、こちらも充足率だけ満たすのではなく、壁率比も満たす方がよいです。一番は偏心率を出来るだけ小さくすることが最もベターです。

次に、壁量規定と耐震性について、簡単な表にしてみます。

各年代の壁量規定毎に、1Fに必要な筋交いの量を、諸条件に合わせてそれぞれ算出すると、基準法制定時の1950年では4本、1959年の基準法改正時では6本、1981年の新耐震基準では12本となります。

1981年の新耐震基準を100%とした場合、1959年では50%、1950年では30%の耐震性と考えることができます。

法改正によってこれだけ変わってきていますが、大地震後も自宅で生活が続けられるようにすることを考えると、現在の耐震等級3レベルの家づくりが必要かと感じます。

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話は変わりますが、先日、栃木の関東能開大で行われた「木造住宅における耐震補強工事実践技術セミナー」に参加しました。

いくつかの座学を行ったあと、無筋コンクリート試験体の破壊試験を行い、来月には、壊した試験体をアラミドシートを用いて補強した後の耐力を測定する予定となっています。

(無筋コンクリートの破壊状況)

無筋コンクリートの場合は、荷重部分が許容耐力を越えると、一筋パキッと割れます。この時は設計基準強度24N/mm2で約90kNまで耐えていました。

(鉄筋コンクリートの破壊状況)

鉄筋コンクリートの場合は、曲げ破壊か、せん断破壊かで壊れ方が違います。
奥の試験体は曲げ破壊した場合、手前の試験体はせん断破壊した場合のものになります。

鉄筋が入ることで、コンクリートの引張りに弱い弱点が補強されて、粘り強くなります。

つづきは、また来月に結果報告できればと思います。

TAKANAKA