“4号特例の縮小”が住宅を変える?概略から今後の影響までわかりやすく解説

多くの方は、住宅を建てる際に必ず確認申請をしなくてはいけないことは知っているかと思います。

しかし、そこでどのような審査が行われているかはそれほど知られていないかもしれません。

実は、日本で最も一般的な2階建て木造住宅においては、その構造計算書などを行政機関に提出する必要はなく、どこからのチェックも受けません。

これが俗にいう「4号特例」です。

あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、住宅業界ではごく当たり前のこととされてきました。

しかし、この「4号特例」がこの度縮小されることが閣議決定され、ハウスメーカーや工務店はその対応準備に追われています。

そこで、今回は「4号特例の縮小」について、その概要や経緯、設計施工会社と施主に与える影響についてお話しします。

これからマイホームを建てる人にとって大きく関連しますので、ぜひ参考にしてください。

このコラムのポイント
●「4号特例」とは、一部の建築物において確認申請の審査を簡略化する規定です。
●「4号特例」が縮小されることで、施主の方にとっては“安心な住宅”が担保されます。
●日建ホームでは、お客さまのご要望にしっかり耳を傾け、理想の住まいづくりをお手伝いさせていただきます。




そもそも“4号特例”って何?

「4号特例」とは、建築基準法第6条の4(建築物の建築に関する確認の特例)において明記されている規定を指します。

では、関連する法規を抜粋してみましょう。

(建築物の建築に関する確認の特例)
第六条の四 第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は第三号に掲げる建築物の建築に対する第六条及び第六条の二の規定の適用については、第六条第一項中「政令で定めるものをいう。以下同じ」とあるのは、「政令で定めるものをいい、建築基準法令の規定のうち政令で定める規定を除く。以下この条及び次条において同じ」とする。

 第六十八条の十第一項の認定を受けた型式(次号において「認定型式」という。)に適合する建築材料を用いる建築物
 認定型式に適合する建築物の部分を有する建築物
 第六条第一項第四号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの

 前項の規定により読み替えて適用される第六条第一項に規定する政令のうち建築基準法令の規定を定めるものにおいては、建築士の技術水準、建築物の敷地、構造及び用途その他の事情を勘案して、建築士及び建築物の区分に応じ、建築主事の審査を要しないこととしても建築物の安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められる規定を定めるものとする。

引用:e-Gov法令検索|建築基準法

まとめると、一定の基準を満たした建物においては、設計した建築士の技術水準などを鑑みて、建築主事(確認申請や完了検査の審査を行う機関)の審査をせずとも、安全上・防火状・衛生上の問題はないと判断するということです。

つまり、対象建築物を確認審査をする際に、一部の書類提出を省略できるため、建築士も施主が望まない限りは、審査に不必要な書類の作成は行なってきませんでした。

では、どのような建物が対象となるのでしょうか?

(建築物の建築等に関する申請及び確認)
第六条 (中略)
 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの
 木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるもの
 木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの
 前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物

引用:e-Gov法令検索|建築基準法
別表第一(い)欄
引用:島根県浜田市

ずばり対象となるのは、「建築基準法第6条で規定されている建物以外」です。

まとめると、以下のような建築物を指します。

  • 特殊建築物(公共性が高い建物)ではない場合
  • 木造建築物で2階以下の建物
  • 延べ床面積が500㎡以下で、建物高さが13mまたは軒の高さが9m以下の建物


これらの建物については、建築確認審査を簡略化するという規定が「4号特例」なのです。


“4号特例”はなぜできた?

「4号特例」は1983年から開始されましたが、制定の背景には当時の日本経済が大きく影響しています。

バブル直前である当時、景気が上向き始めたこともあって、新築住宅棟数が急増し始めていました。

しかし一方で、それらの建築確認審査を行う行政職員が不足していることから審査が滞ってしまったり、建築主事の業務過多が問題視されていたのです。

これらのことから、関連行政機関の業務軽減や確認申請期間の短縮を目的に、比較的審査の必要性が低い「四号建築物」の審査を簡略化する運びになりました。

結果的には、審査にかかる負担が大幅に軽減されて、バブル期に向かってより住宅業界が活性化したとも言われています。

着工戸数推移
(「国土交通省|我が国の住生活をめぐる状況」データを元に作成)





住宅業界を騒がせている”4号特例縮小法案”とは?いつから変わる?

「4号特例縮小法案」は、今まで何度も国会で議論が繰り返されてきましたが、この度2022年に衆議院を通過し、今後参議院で閣議決定される予定です。

では、そもそもなぜ「4号特例」を縮小すべきという意見が挙がってきたのでしょうか?

その要因はいくつかありますが、主に下の3点が大きく影響しています。

1998年の建築基準法改正に伴う「確認審査・完了検査の民営化」

1998年の改正によって、今まで行政でしか行えなかった確認審査が民間団体でも代行できるようになりました。これによって、確認審査件数が急増し、一時は構造に不備のある住宅が減ったものの、段々と審査内容の漏れや審査レベルの不平等さが露呈し始めました。

(参考)
国土交通省|安全・安心社会の確立に向けた国土交通行政の展開

2005年に起こった「耐震強度偽装事件」

国土交通省はこの年にマンション20棟・ホテル1棟の耐震構造計算書に偽装があったことを発表し、世間を大きく騒がせました。これに伴い、戸建住宅を含む多くの建築物において、同省が緊急検査を行ってみると、多くの審査不備が発覚したのです。この事件をきっかけに、「四号特例」の必要性や問題点が議論に上がりました。実際に、翌年2006年には「四号特例廃止案」が制定し、国土交通省は2009年12月までに実行する旨が発表されました。
※その後、同法案は建築業界や日本経済低迷などを理由に無期延期になります。

2000年代から問題視された「構造瑕疵トラブルの増加」

この頃から、経済低迷によって住宅事業者が倒産し始め、それによって建物の保証や修理・メンテナンスができなくなり、住民が施工不良箇所についても自己負担で修理費用を負担しなくてはならない事例が増え始めました。2009年には「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」が制定されたものの、四号特例によって設計不備などが立証できない事案が目立ったため、特例廃止議論が再燃しました。

2018年に日本弁護士連合会が「四号建築物に対する法規制の是正を求める意見書」を国土交通省に提出し、その後2022年に衆議院を通過しました。今後、参議院での議論を経て、法改正が施行され、2022年時点では2025年から実施される見込みです。


〈関連コラム〉
日建ホーム|コラム|新築住宅の保証は「10年」?リフォームの場合は?保証制度の種類について徹底解説



改正前と改正後の違いは?

では、改正前と改正後ではどのような違いがあるのでしょうか?

関連する変更点は以下の2点です。

  • 建築基準法6条の4号がなくなり、それに伴い2号と3号も改正される
  • 建築基準法20条(構造耐力)が改正されて、構造計算方法が変わり、非木造建築物において確認申請の構造計算書提出義務免除面積が縮小される (※木造住宅には関連しない改正内容)


つまり、要約するとそもそも「4号建築物」という区分がなくなり、今まで特例の対象外であった建物と同じ扱いになるということです。

2025年以降は、「4号建築物」に区分されていた建物は、自動的に現行の2号建築物(木造3階建て・延べ床面積500㎡以上)か3号建築物(平屋または床面積200㎡以下の非木造)に振り分けられます。

ですから、施行後は一部の小規模建築物(木造平屋建、200㎡以下)を除いて、木造2階建ての住宅も構造規定に関する審査が行われ、構造関連図書の添付が欠かせません。



「廃止」と言われるのはなぜ?

「4号特例」について調べみると。 ”廃止”という言葉が目立ちます。

しかし、実際に決議された法案は「4号特例“縮小”法案」です。

これには理由があり、日本の住宅のほとんどが特例対象となっていた「木造2階建て」で、改正後は特例対象から除外されるため、実質的な廃止と認識している業界関係者が少なくないからです。

2008年のデータですが、新築戸建住宅着工数の約85%が木造で、2階建て以上の住宅も84.1%となっています。(総務省統計局|平成20年度「住宅の種類,建て方及び構造」より)

そのため、実績のほとんどを木造2階建て住宅が占めるハウスメーカーや工務店にとっては、決して関係ないとは言えず、むしろ業務内容がガラリと変わる点は否定できません。



設計・施工会社に与える影響と施主に与える影響は?

「四号特例の縮小」に伴い、今まで省略できていた構造関連図書の作成が必要となるため、工務店や設計施工会社にとっては大きく業務負担が増えてしまいます。

また、各図面間での整合性がより重視されるため、構造関連図書以外の図面などを作成する時間も長くなる可能性があるでしょう。

しかし、忘れてはいけないのが、今回の改正は住まい手の安全で安心できる生活を守るためのものであるという点です。

今まで、建築士や審査機関の都合が優先されて特例が実施されていましたが、今後は瑕疵トラブルを未然に防ぎ、どの会社に頼んでも耐震性能の担保された住宅に住めるようになるため、施主側にとっては大きな安心につながります。

しかし、一方で小規模な設計事務所や工務店は、人員不足やシステム整備の必要性から、改正に対応していけなくなる可能性もあり、今後はより「会社選び」が重要となるでしょう。

地震大国である日本においては、施主のニーズに合わせつつも確実な耐震性能を持ち、さらに法令を遵守した設計・施工ができる会社を選ぶ必要があります。



まとめ|今後はより“構造”を重視した設計に

「四号特例」が縮小することは、住宅業界にとって非常に大きな変化です。

確かに、設計業務は格段に増えるため、建築士や工務店の中にはネガティブな意見を言っている人は少なくありません。

しかし、施主の方にとっては“安全な住宅”が法令によって守られるため、メリットでしかないでしょう。

設計・施工会社を選ぶ際には、この「四号特例の縮小」に対して、ポジティブに捉えているかどうかを確認することはとても重要です。

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