窓ガラスの遮音について

建物の中で、音の透過を考えたときに、まず音が抜けやすい場所というと、開口部(ドア、窓、換気のための給気、排気口等)があげられます。

 

音が透過しにくい遮音仕様のドアやガラス、サッシ、給排気口が各メーカーからも出されていますが、今回は窓の種類によって音の違いの特性をについて書いていきます。

 

建物には欠かせない窓ですが、壁に比べて厚さ薄くなるため、一般的には音も透過しやすくなります。

 

代表的なガラスには、①単板ガラス(一枚の板ガラス) ②複層ガラス(2枚以上の単板ガラスの間に空気層を設けたガラス) ③合わせガラス(2枚の板の間にフィルムを挟んだガラス) があります。

 

※単板ガラスにも、透明ガラスと型ガラス、網入りガラス等がありますが、遮音的な観点からみると、(ガラスの厚さは同じであれば)それぞれ種類による違いはあまりありません。LOW-Eペアガラスも複層ガラスとひとまず同じと考えます。

 

YKKAPさんで出しているデータをお借りしガラスの遮音特性を見てみます。

 

まず、グラフの見方ですが、横軸が周波数(音の高い低い)、縦軸が音を遮った大きさです。(上に行くほど遮音性が高くなります)

 

 

 

 

 

 

 

グラフが見にくい場合は、下記リンクよりYKKAPさんのサイトで見てください。

https://www.ykkap.co.jp/products/window/glass/different/

(YKKAP)

 

単板ガラス6mm(黄色)は、2KHzあたりで遮音性能が落ち込んでいます。これは、コインシデンス効果と呼ばれる遮音性の低下です。

 

複層ガラス3mm+3mm(オレンジ)にすると、単板ガラスで落ち込んでいた2KHzあたりの遮音低下は大きく改善されます。しかし、125Hz~1KHzあたりまでは単板ガラスよりも遮音性能が低くなっています。これは、複層ガラスになったことで共鳴透過損失という現象が起きているからです。

 

防音ガラスは、これらの現象を改善するために、複層のガラス厚をそれぞれ変えたり、ガラス厚、空気層の厚さを変えたりして、遮音性を高めています。

 

合わせガラス(水色)にすると、単板ガラスに比べて、コインシデンス効果による遮音低下は少なくなっています。

 

また、ガラスだけではなく、サッシの気密性も遮音には大きくかかわってきます。

 

音響的な特性を述べましたが、窓はそもそも光を取り入れる、換気をするのが大きな目的ですし、快適に過ごすため(エアコンの熱負荷を下げるため)に遮熱や断熱効果を高めたLOW-E複層ガラスが主流になっています。

 

弊社でも、LOW-E複層ガラスを採用していますが、アルミサッシに比べると、遮音的にもずいぶんと静かな印象を受けます。

(トリプルサッシにするとさらに遮音性は向上します)

そのほかに、既存の窓の内側にもう一層サッシを設ける2重サッシがあります。

2重サッシは遮音性の向上のほかにも、断熱性の向上が見込めますので、現在、アルミサッシで冬は寒く、夏は暑いという場合は、おすすめできるリフォーム工事といえます。

ピアノや楽器の演奏をするなど、それ以上の性能を求める場合は、スタジオ等の防音室のように、(ボックスインボックスといったりしますが)部屋の中にもう一層床・壁・天井を作り、2重サッシの間の縁を切って遮音性を高めたりします。この辺のレベルでしっかりとした遮音(D45程度以上)を確保したいとなると、通常の家づくりをしている会社ではあまりノウハウをもっていないので、スタジオなどを専門に施工している会社にコンサルとして入ってもらうのがよろしいかと思います。

 

TAKANAKA