地震に強い家
最近の全国ニュースによると各地で地震が頻発しているようですが、幸いにも最大震度4程度の地震のため建物の被害報告は殆どありません。
しかし、国の防災情報では、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を公表しており、全国地震動予測地図では、地震発生の確率を5段階に色分けて示していますが、関東地方は殆どが確率6%以上、中には26%以上の地域も見受けられ全く安心できません。
「地震に強い家」を建てるにはどうすれば良いのでしょうか?
建築基準法で定める耐震基準は大地震で被害が出る度に内容が見直されて強化(最近では平成12年)されており、設計手法は違いますが木造住宅だけでなく鉄筋コンクリート造の集合住宅もこの基準に則って構造設計されています。
また、平成13年にスタートした住宅品質確保促進法の性能表示制度では、「構造の安定」で建物の耐震性能を三段階の耐震等級で性能表示することが盛り込まれました。この制度を利用すれば、住宅により高い(最大で建築基準法の1.5倍)耐震性能を与えることが出来ます。
ただし、耐震性能を上げれば構造上の制約も増え、木造住宅の場合には必要な壁量を確保するためにプランに制約が出たり、躯体コストが増えて家作りが思い通りにいかないこともあるので、設計の専門家に相談された方が良いでしょう。
建物の構造を考える際の基本的な事項ですが、「地震に強い家」のポイントを以下に示しました。
・屋根、外壁の仕上げは重量を軽くして地震力を減らす。
・建物外周、固定間仕切りの壁はできるだけ耐力壁にして壁量を増やす。
・耐力壁は平面プランの重心(図心)に対してバランス良く配置する。(=偏心率)
・2階の柱、耐力壁の位置は出来るだけ1階の柱、耐力壁と整合させる。(=直下率)
・耐震金物は適切に設置する。
・お金に余裕があれば制振装置の採用も検討する。
東日本大震災から9年、熊本地震から4年が早くも経過し、建物倒壊の悲惨な記憶も次第に薄れてしまいましたが、大地震は突然にやってきます。我が家の新築、改修を考えている方は、改めて震災の怖さを思い出してプランを検討されてはいかがでしょうか。(写真は外周の耐力壁、間仕切りの耐力壁、間仕切り耐力壁の裏側です。)
By Hira