住宅に求められているもの
近年、住宅に求められる性能について、耐久性、耐震性の優先順位が高く、次いで断熱・省エネ性となっておりますが、その中でコストパフォーマンスの良い住宅がお客様から選ばれているように感じます。
この3つの重要性は、省エネ法の改正、4号特例の撤廃への話や長期優良住宅の推進により、これからますます加速していくように思います。
耐久性や断熱性に関しては、現状においても、会社が意識しているかそうでないかでだいぶ差があるように感じます。
建売や分譲で家を購入された方から「住んでみたら夏暑くて、どうにかしたいんです」というご相談を頂くこともありますが、これがなかなか簡単にはいかない場合があります。
エアコンを導入すれば室内の温度は下がり、当初の問題は一見して解決したように思えますが、図面に記載された壁の断熱構成から結露計算をすると、壁内に結露が発生する結果となる場合もあります。
これは耐久性の観点からは構造体の劣化を促進させてしまうことに繋がりかねませんのであまり良くはありません。(気温などの条件にもよるので湿害を起こさない多少程度であれば許容できると考えますが)
結局は、当初の計画で、室内の温度や結露に対する検討がなされていなかったことによりますが、この4月まで断熱の最高等級だった断熱等級4の基準が低かったことも、断熱・気密、結露などにあまり意識が向けられていない原因の一つではないかと感じます。
その他、窓まわり、屋根の雨仕舞いや外壁と下屋の取り合いなどに対する納まりなど、考えている会社はしっかり考えていますが、まだまだ会社によるバラつきは多いかと思います。
また、省エネ性の中に含まれますが、最近は、住宅建設後のランニングコストやメンテナンス費用を考えられるお客様も増えています。
断熱性の高い家や太陽光発電を設置することで、長期的には住宅に関わる総支出金額は逆転すると考えられる方も増えてきておりますし、経済性と快適性のバランスがとれた家が求められてくるかなと感じます。
構造に関しては、今後予測されている大地震でも、大きな損傷が起こらないように耐震等級3は必要と考えますし、地震に強い家は構造体の変形なども少なくなるので、雨漏れやひび割れによる雨水侵入のリスクも減ります。
それ他、災害に対するレジリエンス対策も重要視されるようになっています。大地震や洪水に対して、ライフラインをどう確保するかということも研究され、新しいシステムも発表されてきています。
そのあたりの大きな要素は今後も変わらず重要とされるのでしょうが、それらが満たされてくるとこれまで比較的優先順位の低かったことも着目されるようになってくるかと思います。
最後に冒頭でのコストパフォーマンスが良いということは、単に性能(物)に対する費用のみを考えているのではなく、良い家を作るために、必要な手間や知恵を多く注ぐことを含んでいます。やはりいい家を作りたいという思いが、住む家に現れると信じていますので。
TAKANAKA