日本で木造住宅が多い理由は?“木造=寒い”って本当?その原因と対策を解説

造作家具

マイホームの新築を検討している時に色々な情報を見ていると、「木造は寒い」そんな言葉を見かけます。

確かに、古い木造住宅から鉄筋コンクリート造のマンションに引っ越して、暖かく感じたという人もいるでしょう。

しかし、現実では木造住宅が他の構造の住宅よりも多いことが歴然です。

そこで、今回は「木造住宅」の多い理由や寒く感じる原因、その対策について詳しく解説します。

これからマイホームづくりを始める方はもちろん、今のお住まいで寒さにお悩みの方も、ぜひ参考にしてください。



このコラムのポイント
●「木造の家は寒い」と言われるのには、築年数の古い住宅の断熱性・気密性に原因があります。
●新築住宅はもちろん、古い既存住宅でもリノベーションによって「冬暖かく夏涼しい家」にすることができます。
●日建ホームでは、お客さまのご要望を取り入れた“理想の住まい”実現に向けて、チームでサポートいたします。




日本の戸建住宅の90%以上が“木造”である理由

全館空調の家

総務省が平成20(2008)年に行なった統計調査によると、木造住宅は全体の58.9%で、RC(鉄筋コンクリート)造やS(鉄骨)造などの41.1%を大きく上回っています。

この調査には、アパートやマンションなどの集合住宅も含まれており、戸建住宅に限定すると「防火木造」と「木造(防火木造を除く)」を合わせると、なんと90%以上を占めます。(参考:総務省統計局|平成20年度 住宅の種類,建て方及び構造

調査から10年以上経っている今日において、非木造の戸建住宅は多少増えていることが考えられますが、やはり主流は相変わらず“木造住宅”です。

では、なぜこれほどまでに日本では木造住宅が多いのでしょうか?

主な理由は5つあり、多くの人は他構造と比較した上で、木造住宅を選んでいます。

  • 材料費や施工費が安価
  • その他の構造よりも軽量
  • 調湿性が高い
  • “木の温もり”を求める人が多い
  • リノベーションする際の自由度が高い


では、それぞれ詳しく解説していきましょう。

材料費・施工費が安価

木造住宅は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造と比べて材料が安価で、尚且つ施工過程において重機を使う機会が少ないことから、施工費も比較的リーズナブルな点がメリットです。

家の大きさによっては、木造の場合と鉄筋コンクリート造・鉄骨造の場合の総コストを比較すると、半額程度で収まる場合もあるほどです。

しかし、「鉄筋コンクリート造の方が長持ちするのでは?」と思う人も多いでしょう。

確かに、国が定めた法定耐用年数を見ても、木造住宅は22年で鉄筋コンクリート造住宅は47年と規定されています。(参考:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表

しかし、この法定耐用年数はあくまでも税法上の概念であって、実際の耐用年数とは異なります。

近年は木造住宅の“長寿命化”も進んでいるため、初期費用の大きな差を重要視して木造住宅を選ぶ人が多いのです。


他の構造と比べて軽量

木造住宅は、他の構造と比べて格段に軽量である点も忘れてはいけません。

鉄骨造の重量と比較すると2/3程度、鉄筋コンクリートですと1/3程度の重要で抑えられる場合もあります。

建物が軽ければ、倒壊した際の被害が抑えられますし、不等沈下などのリスクを防止するための地盤改良工事費も安くできます。

日本は、いつ何時大地震の被害に見舞われるか分からない「地震大国」です。

そのため、万が一の際に被害を最小限に抑える目的で、木造が一般的に選ばれています。


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調湿性が高い

木材は、「湿気を吸い取ったり放出する」という調湿性を持ちます。

そのため、室内の湿度を一定に保つ上では木質系材料を使った方が有利であるというデータ結果も出ています。

材料別湿度比較
引用:森林・林業学習館|木材の調湿性と居住空間


一年を通して雨の降る日本においては、この調湿性は快適な生活を送る上で重要なポイントと言えるでしょう。


“木の温もり”が感じられる

木材ならではの“温もり”を求める人も多く、実際に自律神経や血圧を安定させたり、ストレスを抑える効果があるとも言われています。

そのため、住宅だけではなく医療施設や教育施設の木造化も進んでおり、日本が誇る森林資源を活用する目的も兼ねて、国も公共施設の木造化・木質化を進めています。(参考:林野庁|建築物の木造化・木質化事例、参考資料

コンクリートやビニル系内装材では実感できない、独特の柔らかさや香りこそ、木造住宅の大きなメリットと言えるでしょう。

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リノベーションをする際の自由度が高い

鉄筋コンクリート造や鉄骨造と比べて、改修しやすい点にも注目しましょう。

鉄骨造は構造体の移動が難しいですし、鉄筋コンクリート造は間仕切り壁も構造体となっている場合もあり、間取り変更ができない場合もあります。

一方、木造住宅ですと増築や減築はもちろん、間取り変更が他の構造よりも簡単で、耐震補強などをしやすいこともメリットです。

そのため、長く住み続けるマイホームにするなら、木造住宅が断然おすすめ。

ライフスタイルや家族構成の変化に合わせて、家を都度生まれ変わらせられるのです。

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木造の家は鉄筋コンクリートの家より“寒い”?

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古い木造住宅は、家の中にいても体が芯から冷えるというイメージがある人も多いでしょう。

それに比べて、ヨーロッパの石造り・レンガ造の家は暖かいイメージがありますし、鉄筋コンクリート造のマンションでは隙間風などを感じません。

そのため、どうしても「木造は寒い」という印象を持ち、それを懸念点に挙げる人もいます。

しかし、この考えは建築材料の特性を知ることで覆るはずです。

家の寒さについて考える際にキーワードとなるのが「熱伝導率」。

熱伝導率とは、冷気・暖気の伝わりやすさを数値化したもので、低いほど熱を通しにくく、高ければ熱を通しやすいことになります。

実は、この熱伝導率が建築材料の中で最も低いのが「木」です。

(素材)(熱伝導率 単位:W /(m・K)
コンクリート1.6
55
アルミニウム210
天然木材0.12
木質系合板0.16
(「一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター|材料の熱定数表」のデータを元に作成)


つまり、木材は他の材料よりも外気温の影響を受けにくく、また一度温まればなかなか冷めにくい特性を持っているということになります。

ですから、「冬暖かく夏涼しい」家にしたいなら、木造住宅ほど適した構造はない言っても過言ではありません。

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木造住宅が寒くなる原因は?

“木”は熱しにくく冷めにくい特性を持っているにも関わらず、「木造住宅は寒い」というイメージを持たれてしまうのはなぜでしょうか?

その理由は主に5つあります。

古い木造住宅は“気密性”が低い

昔の住宅は、今ほど“気密性”が重要視されておらず、耐震技術も未発達であったため、構造体に敢えて隙間(クリアランス)を作って、地震力を逃す方法を取っていました。

また、窓サッシや玄関ドアの密閉性も低く、どうしても隙間風が入って室温を下げる原因となってしまっていたのも事実です。

新築時には気密性が高い住宅であっても、経年による変形や歪みによって、隙間が生まれてしまう可能性も捨てきれません。

そのため、築年数の古い住宅は、どうしても“寒い”と感じられてしまうのです。


古い木造住宅は“断熱性”が低い

気密性と同様に、断熱性も年々施工技術や材料の性能が進化しているため、昔建築された住宅と新築住宅では、その断熱性は段違いです。

古い住宅の場合ですと、壁内に入れる断熱材の量が不十分だったり、床下や天井裏はそもそも断熱工事がされていない住宅も少なくありません。

また、一般的に用いられるグラスウールなどの繊維系断熱材は、湿気などで性能が低下するため、それらの入れ替えをしないかぎり、家の断熱性は低下してしまいます。


一度冷えると温まりにくい

先ほどもお話しした通り、木は熱伝導率が低いため、熱しにくく冷めにくい特性を持ちますが、逆に言えば一度冷えてしまうとなかなか温まらないということになります。

そのため、冬に長期間家を開ける場合は、帰ってきて暖房をつけたとしても、なかなか温まらずどうしても「寒い」と感じてしまうでしょう。


コールドドラフト対策がなされていない

こちらは木造に限った原因ではありませんが、窓や外壁の断熱が不十分ですと「コールドドラフト現象」が発生します。

これは、室内の暖かい空気が窓や外壁から伝わる冷気と触れて、冷たい空気が一気に下降して足元に気流が発生する現象です。

暖房をつけても暖気が上にどんどん上がってしまい、冷たい空気が足元に流れ込み、体感温度を下げてしまいます。

コールドドラフト現象
引用:YKK ap




空調設備が不十分

昔の住宅は、省エネの観点からも「必要な場所だけ暖める・冷やす」という考えが主流であったため、リビングや居室など人が一定時間止まる場所にしか空調設備をつけていませんでした。

しかし、それでは家全体を暖めることはできず、一時凌ぎにしかなりません。

また、出入りでドアを開ければ、その度に暖気や冷気が大量に外へ流れ出してしまいます。

そのため、どうしても極端に暖かい場所と寒い場所ができ、室温ムラの原因に繋がってしまうのです。




「冬暖かく夏涼しい」家にするために押さえるべきポイントは?

タタミコーナー
庭が眺められるタタミコーナー

最近は、建築技術や材料の性能がどんどん発展していることもあり、新築の木造住宅においては“極端に寒い・暑い”ということは少なくなっています。

しかし、真冬や真夏にエアコンをつけてもいつまで経っても快適にならないと感じる人がいるのも事実です。

そこで、「冬暖かく夏涼しい家」にするためのポイントを紹介します。


高気密・高断熱にする

最近、ハウスメーカーの広告などでも目にする「高気密高断熱住宅」ですが、実はその歴史は意外と浅く、1999年に省エネ基準が強化されたことをきっかけに普及し始めました。

窓枠や床、天井、壁などが隙間なく施工されており、なおかつ開口部も気密性が高いものが採用され、気密テープや防湿シートを設置して、外気が室内へ侵入できない工夫がされています。

また、十分な断熱材を壁内や天井裏、床下に充填することで、家全体をまるで“魔法瓶”のように包み込み、外気温の影響を受けにくく、また結露の発生を防ぐことができます。

壁や天井裏、床下の気密性・断熱性はもちろん重要ですが、忘れてはいけないのが「開口部」。

なぜなら、室内の熱の多くは窓などから外部へ流れ出てしまうからです。

外壁や屋根、床、換気と比べても、窓(ガラス)やドアなどからの熱損失は大きいため、複層ガラスや断熱サッシ・断熱ドアを採用することをおすすめします。

高気密高断熱住宅を建てるには、熟練した技術や豊富な知識が必要となるため、必ず実績のある会社に相談しましょう。

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自然の“力”を取り入れる

家の中が寒い・暑いと感じれば、通常は空調機器を付けるでしょう。

しかし、最近ではその方法だけではなく、「自然の“力”を取り入れる」手法が広まりつつあります。

それが、「パッシブデザイン」です。

日射や通風を積極的に家の中に取り入れ、極力電気を使わずに快適な室温にする手法で、軒の出や庇の位置などで室内に入る日射量を遮断したり、逆に窓の位置や向きを考慮して冬には日差しを取り込みます。(参考:PASSIVE HOUSE JAPAN|パッシブハウスとは?

自然エネルギーを積極的に取り入れ、それを巧みに活用することで、省エネかつ快適な室内環境の確保が可能となるのです。

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全館空調を取り入れる

家の断熱性・気密性を高めた上でおすすめなのが、「全館空調」です。

「電気代が高い」「省エネではない」と思われがちですが、熱伝導の低い木造住宅においては、細々と各室でエアコンなどを使うよりも、効率が良い場合もあります。

また、温度ムラによるヒートショックの発症リスクも抑えられ、より快適で健康的な暮らしを実現できます。


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築40年・50年の古い住宅でも“断熱リノベーション”で暖かい家に

断熱効果に優れた木製のトリプルガラス

地球温暖化が進む昨今、日本においても住宅の省エネ性や断熱性の基準が変化しています。

そのため、築40年を超える住宅と新築住宅では、その性能に大きな差があるのです。

省エネ基準の変革
引用:国土交通省|省エネルギー基準改正の概要


断熱性能の変革
(「国土交通書譜|住宅事業建築主基準の判断のガイドブック」のデータを元に作成)



しかし、「うちは古いから」と諦めるのは早いです!

築40年以上経った古い住宅でも、断熱リノベーションをすれば、冬の寒さや夏の暑さを軽減できます。

  • 壁内や天井裏、床下の断熱材を入れ替える
  • 窓サッシや玄関ドアを断熱仕様のものに取り替える
  • 屋根や外壁を断熱材付きのものに取り替える


これらのリノベーション工事は、補助金の対象となる可能性もありますので、家の暑さや寒さでお悩みの方は、ぜひ“断熱リノベーション”をご検討ください。

〈参考ページ〉
国土交通省|住宅リフォームの支援制度 ※令和4年10月1日時点
千葉県|リフォームに係る助成制度等について
茨城県|住宅関連助成制度

〈関連ページ〉
日建ホーム|リノベーション・リフォームのご提案

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日建ホーム|コラム|冬でも夏でも快適に過ごせる室温と湿度はどのくらい?新築&リノベーションで取り入れられるポイントを解説






日建ホームはどこよりも早くから「住宅の高気密高断熱化」に取り組んでいます

高気密高断熱の家

私たち“日建ホーム”は、ハウスメーカーでも大手ビルダーでもありません。

千葉県我孫子市に本社を構え、とことん「地域密着」にこだわった建築会社です。

1988年創業以来30年以上、千葉県北西部や茨城県南部でたくさんの住宅を建築してきました。

お客様の理想を現実化することはもちろん、私たちが大切にしているのが「高気密高断熱の家づくり」。

どのハウスメーカーよりも早い1999年から、高気密高断熱住宅の建築に取り組んでいます。

「地域の特性を理解しているからこそ実現できる快適な“高気密高断熱の家づくり”」これこそ私たちの強みです。

千葉県・茨城県で土地探しを始めたい方や、長く住み続けられる住まいを建てたい方は、ぜひ“日建ホーム”までお気軽にご相談ください。

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まとめ|新築住宅&既存住宅リノベーションも“高断熱・高気密”がポイント

「木造住宅は寒い」そう思われる原因は、その断熱性や気密性にあります。

古い既存住宅の場合はその性能をリノベーションによって見直し、新築住宅の場合は高断熱高気密性能にこだわりましょう。

そうすれば、木の持つ本来の特性を活かした「冬暖かく夏涼しい家」を実現できます。

私たち日建ホームは、お客様に安心していただける快適な住まいづくりを徹底しています。

土地探しや住宅ローンのご相談から、建築予定地の地盤調査、設計士・インテリアコーディネーターによるデザインのご提案など、各専門スタッフがチームでお手伝いさせていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください。


オンライン相談も随時承っております

日建ホームでは、現在遠方にお住まいの方のために、随時オンライン相談も承っております。

日頃お仕事でお忙しい方や、小さいお子さんがいらっしゃって現地での打ち合わせが難しい方、隙間時間に打ち合わせしたい方はどうぞご活用ください。

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