家づくりと空気環境への意識

今日は家の中の空気環境を考えてみたいと思います。

空気環境は健康に影響するので良い状態に保つのは大事だというのはもっともなのですが、私個人としては、健康のみならず体や脳のパフォーマンスを向上させるために、家の中の温熱・空気環境は良くした方がよいと考えています。

身体に取り込む物質の中で、一番多いのは食べ物ではなく空気になります。人が一日で吸う空気の量は、約1万5000l(リットル),重さに換算すると約18kg/日 の空気を吸っていることになります。

また、人が生涯で摂取する全ての物質のうち、83%は空気であり、さらに57%は室内空気ということであります。(東京大学、村上周三先生 住まいと人体より)

食べ物は、自分に良いものを選んで取り入れることが出来ますが、空気はその場にあるものを吸わざるを得ないため、常に新鮮な空気環境を保つのが望ましいです。

 

【家づくりにおいて空気環境のために考えたいこと】

 

【その1】 家の換気計画が出来ていること

→今では24時間換気が義務化になっているので、どの住宅にも基本は機械式の換気設備が入っていると思います。

(パッシブ手法しか使わない(機械換気設備のない)換気方法もありますが、外気による換気だけでは快適な室内環境は保つのは難しいですし、快適な時期も限られるため、機械換気は必須と考えます)

シックハウス対策で2003年に住宅では家の中の空気を2時間で1回すべて入れ替わるようにと定められていますが、有害物資の発生が十分に抑えられた家においては、家の中で生活する人数によって必要換気量を変えてもよいと考えます。2時間で1回換気をする場合、標準的な2階建ての家の容積を約300㎥とすると、換気量は150㎥/h(一時間当たり)となります。人が一人当たり必要な換気量は30~40㎥/hなので、だいたい4~5人分に相当します。

そうなると、家の中で生活する人が1~2人の時の換気量は多すぎとなり、寒さや暑さ、冷暖房の増エネの原因となりますし、逆に6人以上の家族なら換気量不足になりますので、おおよそ必要な換気量は【必要換気量(30~40㎥)×人数分】とするのが良いと考えます。(さらに詳細な制御をしたい方は、Co2濃度や湿度センサーによって換気量を調整する機器もございます)

 

その他、空気質を良好に保つには、しっかりと室内の空気が入れ替わる必要があり、そのためには建物の気密性の高さも重要になります。

換気設備では、一般的には機械的に排気をする3種換気が多く、熱交換機を選ばれる方は1種換気を採用されます。ご予算や家の断熱性能、メンテナンス性を踏まえて選定するのがよいかと思います。

 

【運用上の注意点】※ここは地味に重要です。

空気環境を保つためには24時間換気設備の電源はOFFにせず、常にONにしてください。

・外気を取り入れる給気口のメンテナンスも大事ですので、定期的な給気口のフィルター清掃や交換も忘れずに。

 

【その2】 室内の仕上げ、下地の建材に有害物資を発生させない(許容値以下)のものを使用する。

 

【その3】 室内でカビやダニを発生させない環境にする。

→カビを防ぐには、湿気のコントロールと結露を発生させないようにすることが必要です。

冬は乾燥するので、加湿器を設置される場合があると思いますが、低断熱住宅で加湿を行うと結露が発生しやすくなります。結露防止には家を高断熱化して、壁の表面温度を上げることと建物全体の暖房(局所的に寒い部分を作らない)ことが有効です。また、内部結露に関しては、結露計算をして壁体内結露が起こらない断面構成になっているかを確認する必要があります。

また、結露やカビに関しては「住まい方」による影響で結露が発生する例もあります。

例えば、

・冬に寒いからという理由で、24時間換気設備を止めてしまっていた

・室内干しで、室内の湿度が非常に高くなり、表面温度の低い窓枠などで結露が発生した

・開放型のストーブを使用している(灯油1Lににつき1L程度の水蒸気を発生する)

・壁際に家具や物を多く置いてしまっている(→壁の表面温度や通気性が下がり結露が発生しやすくなる)

など

これらも、元を辿ると家の断熱性が低いことが大きな要因でもあるので、断熱性を高くすることでこのような2次的被害も少なくすることができるかと思います。

 

だんだん話が逸れてしまいましたが、空気環境を考えて頂けるきっかけとなれば幸いです。

 

デスクの横に置いているCO2濃度計

TAKANAKA