構造用集成材のあれこれ

最近の木造注文住宅は耐震等級2(耐震等級1に対して耐震性能が1.25倍)、耐震等級3(同1.5倍)を希望されるお客様が多くなっているようです。必然的に柱梁の主要部材に構造性能が保証されたJAS集成材を使うことが多くなっていて、部材に貼られた構造性能を示すJASラベルは現場の品質管理の重要なポイントになります。

最近ある現場の建て方で、仮設の枕木に使われていた2本の柱の端材に張られたJASラベルの製造者の所在が、なんと片方がロシア連邦(樹種はオウシュウアカマツ)、もう一方が中華人民共和国(樹種はスプルース)でした。当社の現場で使われた柱材ではありませんが、日本の木造住宅を支える輸入木材が集成材として北欧や北米以外にもロシア、中国からも輸入されていることに多少驚いた次第でした。

話は変わって、少し前のテレビ放送で、「木造建築の可能性」としてCLT(Cross Laminated Timber JASでは直交集成材)が特集され、大変興味深い内容でした。CLTはひき板(ラミナ)を繊維方向に平行に並べた層にそれに直交するように何層かを貼り合わせた厚めの木製パネルです。2013年にはJAS規格が制定され、建築家の隈研吾が設計した新国立競技場の一部にも使われていています。イメージ的にはプレキャストコンクリートパネルに近い建材ですが、木材に特有の断熱性、軽量を生かして最近では壁式構造の中層建築物にも採用されており、国産材利用の切り札としても期待されています。

輸入木材の価格高騰の中、構造用集成材の今後の動向にも注視していきたいと思います。

By Hira

 

日本CLT協会HPより