宮大工の仕事

先日、録画したテレビ番組に宮大工の仕事の話があったので興味深く鑑賞しました。その中で面白い話が幾つかあったのでポイントを以下に紹介します。

宮大工の話

・「大工と雀は軒で泣く」…神社仏閣建築の特徴の一つに軒先の美しさがありますが、軒先の長い水平線は視覚効果で両端が下がって見えるため、軒の端を跳ね上げて軒先を綺麗に見せる技が使われています。この部分の木組みが複雑で宮大工が苦労する様を上手に例えた言葉でした。ちなみに、より中国様式に近い建物の方が反りが大きいとの事でした。(「大工と雀…」には他に、昔の大工は雨が降ったら仕事ができないのでその日のお金が入ってこない。雀も軒下で雨を忍んで鳴くという別の意味もあったようです。)

道具の話

・「和釘」…昔の神社仏閣に使っていた釘は、断面が四角で鍛冶職人が一つ一つ鍛練して製作するのですが、形状が楔状になっているので後日釘を引き抜いて容易に補修や解体が出来るそうです。現在は和釘を作る職人が限られているので重要な寺社仏閣の保存に苦労しているとの事でした。

・「かんな」…日本のかんなは、奥から手前に引いて木を削るのですが、西洋・中国のかんなは手前から奥に押し出すようにして削ります。押して削る方が全身の力が入りやすのですが、引いて削る方が力を微妙に調整できて繊細な加工が求められる和の建築に向いていたようです。

ちなみに「のこぎり」でも、西洋ののこぎりは押して切り、日本ののこぎりは引いて切ることは良く知られていますが、日本と西洋の木の文化の違いで、雨が多い日本は成長が早くて柔らかい木材(ひのきや杉)が多く利用されるが、雨が少ない西洋では木材の成長は遅く比較的堅い木が多いことも要因の一つのようです。

日本の木造建築の技術は奥が深いですね。

By Hira