吹き付け断熱の後悔・デメリットとは?5つの対策、吹き付けを採用するメリットも紹介
「吹き付け断熱にして後悔やデメリットを感じることがある、と聞きました。どんなケースで後悔を感じるのでしょうか」
本記事では、こうした疑問にお答えします。
断熱材には、グラスウールやウレタン吹き付け、セルロースファイバーなど、複数の種類があります。
中でもウレタン吹き付けは壁内で発泡して隙間を埋めることから、特に気密性を高める効果が高いことで知られています。
優れた断熱・気密特性を持つ吹き付け断熱で後悔やデメリットを感じるのはどうしてなのか、また検討できる対策はあるのか、確認してみましょう。
● 一方で、施工費用が比較的高い点や施工者の技量に仕上がりが影響する点など、デメリットもありますので、把握し対策を立てた上で吹き付け断熱を選びましょう。
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吹き付け断熱とは?
吹き付け断熱は、発泡する性質を持つ薬剤を吹き付けて施工する断熱工法を指します。
主にウレタンが利用され、柱と柱の間など断熱を施したい箇所に吹きつけます。
発泡して隙間のある箇所に向かう性質があることから、住まいの気密性を高めたい場合に利用されるケースが多い点が最大の特徴です。
〈関連コラム〉
【気密測定とは】自分でできる?費用は?c値の数値基準やタイミングなど疑問にも回答
吹き付け断熱で後悔を感じることはありますか?
断熱材として吹き付け断熱を選んだ場合、感じる可能性のある後悔やデメリットは次の4つです。
- 施工費用がグラスウールなどと比較して高め
- 施工する人の技術によって仕上がりが変わる
- リフォームでの断熱材撤去後は再度吹き付けが必要
- 地震・木材の乾燥収縮で隙間が発生する可能性
施工費用がグラスウールなどと比べて高い
1つ目は、施工費用がグラスウールなどと比べて高くなる可能性があることです。
断熱材は、性能や気密性、施工性などによって施工費用が変わります。
一般的に最も安価なグラスウールと比較すると、ウレタン吹き付けは断熱にかかる費用が高くなる可能性があります。
ただし、断熱性や気密性の向上は光熱費の削減などに効果を発揮しますので、長期的にはコスト差が縮まる要因にもなります。
施工する人の技術によって仕上がりが変わる
2つ目は、施工する人の技術で仕上がりが変わることです。
一般的な充填式のグラスウールは定型の断熱材を壁内に敷き詰めて施工しますが、吹き付け後に発泡する仕組みのウレタン吹き付け断熱材は、発泡後の形状を予測した上で吹き付ける必要があります。
精度の高い施工を期待する場合、工務店やハウスメーカーに施工実績を確認することが重要です。
リフォームでの断熱材撤去後は再度吹き付けが必要
3つ目は、リフォームで撤去した場合は新規に吹き付けが必要であることです。
袋の中に充填された状態で施工するグラスウールや、壁内に立方体をはめ込む形式のスタイロフォームなどの断熱材は、リフォーム後に再設置することが可能です。
ウレタン吹き付けの場合は撤去後に新たに吹き付ける必要がありますので、リフォーム時の費用を抑えるために断熱材の撤去を伴うリフォームが発生しないよう建築時に工夫する必要があります。
地震・木材の乾燥収縮で隙間が発生する可能性
4つ目は、地震後や木材の乾燥収縮で隙間が生まれると指摘されることです。
追従性の低い製品を使用している場合や、耐震性が低く建物の歪みが大きい住まいでは、隙間が生じる可能性があります。
一方で、十分な追従性のある製品や耐震性の高い住まいであれば、隙間が発生する可能性は低いといえます。
吹き付け断熱への後悔・デメリットを避けるには?
吹き付け断熱に対する後悔やデメリット、施工実績の多い工務店・ハウスメーカーであれば過剰に不安視する必要はありません。
それでも不安を感じる方は、次の5つの対策を検討してみましょう。
高気密化の経済的なメリットを確認する
費用が高くなることについては、高気密化によって生まれるメリットを確認することが効果的です。
次の図のとおり、省エネ基準の住宅からZEH水準の住宅に仕様を変更した場合、年間光熱費が46,000円安くなる試算があります。
ほかにも、次のような複数のメリットがありますので、建築費用に加えて長期的なランニングコストの削減も含めて経済性を比較することが大切です。
- 結露を防げることから家の耐久性が高まる
- カビ・ダニが発生しづらくアレルギーが生じづらい
- ヒートショックを防ぐことができ健康に好影響
施工精度の高い業者に依頼する
職人の技術によって仕上がりや気密性が変わる点については、吹き付け断熱の施工実績が多い業者に依頼することが一番です。
施工実績の多い業者であれば、精度の高い施工をするためのノウハウが蓄積されていて、隙間のないきれいな仕上がりを期待できます。
また、施工後の隙間の有無を確認するために、気密測定を実施している業者もおすすめです。
気密測定とは、換気扇などを除いた家の隙間がどの程度あるのか実際に測定することを指します。
測定結果によって再施工することを約束している業者を選べば、技術の不足で気密性が不足する事態を避けられます。
リフォームが不要な仕様・間取りにする
リフォーム後の断熱材の再施工については、リフォーム不要な間取り、または簡単に間取りを変更できるよう配慮して設計することがおすすめです。
長期的なライフイベントを見越して間取りを設計すれば、基本的にリフォームせずに暮らし続けることができます。
また、リフォームが必要になった場合でも、耐力壁(地震などに耐える役割を持つ壁)と一般の壁を上手に使い分けることなどで、容易に間取りを変えられる住まいにすることも可能です。
▶間取り変更から耐震・断熱まで│日建ホームのリフォーム工事について
追従性の高い断熱材を利用する
地震の揺れや木材の乾燥収縮への不安については、追従性の高い断熱材を利用することが効果的です。
ウレタン吹き付けの断熱材は複数の製品があり、それぞれ断熱性や費用などが異なります。
異なる特徴のひとつは、木材への接着性や追従性です。
吹付け後の接着性や追従性の高い製品を選べば、地震や経年変化を受けても隙間が生まれるリスクを低減できます。
十分に乾燥した木材を利用する
断熱材と木材の間に隙間が生まれることを防ぐには、十分に乾燥した木材を利用することも重要です。
木材には、以下のとおり状態によって異なる特徴の乾燥方法があります。
- グリーン材(十分に乾燥していない材)
- KD材(人工乾燥材)
- AD材(天然乾燥材)
グリーン材は十分に乾燥していないことから、建築後の乾燥収縮および隙間の発生が予想されます。
こうした不十分な乾燥状態の材を避け、十分に乾燥した木材を利用することでも隙間の発生を避けられます。
吹き付け断熱のメリットを再確認
デメリットや後悔、対策について解説しましたが、吹き付け断熱には多くのメリットもありますので紹介します。
- 断熱性・気密性が高く快適な住環境になる
- 壁体内結露を抑えられ住宅の耐久性が高まる
- 10年後も断熱材がズレにくく暖かさが持続する
- 吸水力がなく湿気・カビに強い
吹き付け断熱の最大のメリットは、優れた断熱性・気密性です。
付着した箇所を基点に発泡するように広がるウレタン吹き付け断熱は、グラスウールなどの充填断熱では埋めづらい箇所にも進入し隙間を埋める特徴を持っています。
その結果、高い気密性・断熱性を確保でき、壁の中で結露が発生する壁体内結露を抑えられ住宅の耐久性を高めることにもつながります。
さらに壁内での結露が避けられれば、断熱材にカビが発生したり脱落したりといった問題も生じませんので、断熱材の耐久性も確保でき長期的に暖かさが持続することも期待できます。
まとめ│高気密高断熱を吹き付け断熱で実現
吹き付け断熱で感じられる可能性のある後悔やデメリット、およびその対策について解説しました。
紹介したとおり、吹き付け断熱は複数の後悔・デメリットが指摘されますが、いずれも対策は可能です。
逆に高気密高断熱住宅には暖かさを中心としたメリットが複数ありますので、吹き付け断熱を利用した高性能な家を建てることをおすすめします。
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