窓の断熱リフォームで快適な住まいに|ポイントや補助金について解説
冬に窓辺で感じるヒヤッとした空気や、夏に窓から差し込む日差しの暑さにお悩みの方も多いでしょう。
また、エアコンをつけると窓ガラスが結露で濡れて困るという方も少なくないはずです。
これらは全て、「窓の断熱性が低い」ことが原因です。
そこでおすすめなのが、窓の断熱リフォーム。
今回は「窓の断熱リフォーム」の重要性や方法、注意点、関連する補助金について丸ごと解説します。
今のお住まいをより快適にしたい方は、是非参考にしてください。
●窓の断熱リフォームにはいくつかの方法があり、家の築年数やご予算に応じて適切なプランを立てることが大切です。
●日建ホームが、ご要望を取り入れた“理想の住まい”実現に向けて、チームでお客さまをサポートいたします。
家の断熱性を高めるのに“窓”が重要な理由は?
家の断熱性を左右するのは壁や天井などに入れられている断熱材の厚さや仕様だと思う方も多いかもしれません。
しかし、実はそれよりも影響が大きいのが「窓の断熱性」です。
なぜなら、窓をはじめとした開口部は熱損失(熱流出)が大きいから。
熱損失とは、壁・天井・床・開口部それぞれの“熱の逃げやすさ”を表し、家の断熱性や空調効率を評価する際に用いられるのが熱損失係数です。
熱損失係数(Q値:W /㎡K)= 建物から逃げる熱量(W /K)÷ 延床面積(㎡)
つまり、開口部の断熱性を高めるだけで、外へ熱が逃げる・外から熱が入ってくることを大幅に阻止できるということです。
では、窓の断熱性を高めることが重要な理由は何なのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
理由① 室温ムラが軽減できて快適・健康的な暮らしに
古い木造住宅ですと、冬場にエアコンやストーブなどのあるリビングや居室ばかりが温まり、洗面室や浴室、廊下が寒いというケースは少なくありません。
この室温ムラは、移動時の不快感だけではなく、健康被害を引き起こす場合があります。
それが、「ヒートショック」です。
入浴中に亡くなるのは全国で年間約1万4000人と推測されていますが、原因の多くはヒートショックである可能性があります。
浴室とトイレは家の北側にあることが多く、冬場の入浴では、暖かい居間から寒い風呂場へ移動するため、熱を奪われまいとして血管が縮み、血圧が上がります。
お湯につかると血管が広がって急に血圧が下がり、血圧が何回も変動することになります。寒いトイレでも似たようなことが起こりえます。
血圧の変動は心臓に負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中につながりかねません。
引用:日本医師会
ヒートショックは、空間の温度差が10℃以上ある場合に起こりやすいとされており、寒い脱衣室から暖かい浴槽へ入る際が最も発症リスクが高く、実際に、2019年には年間5,000人以上の方が入浴中急死で亡くなっていることが分かっています。(参考:厚生労働省|浴室内の死亡として報告された事例についての検討)
特に、外気温が低くなる1月は、真夏の8月の11倍もの方がヒートショックが一因で亡くなっているとされています。
そのため、健康的に暮らすためにも断熱性を高めることは最重要ポイントと言っても過言ではありません。
そして何より、家全体の温度差が少ないほど、居心地の良い住まいになることは確実です。
窓の断熱性を高めることは、冬の寒さや夏の暑さを軽減することにつながります。
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理由② 結露を防げてカビ・腐朽・シロアリ対策に
「真冬や真夏に室内でエアコンをつけると、窓周りがびしゃびしゃになってしまう」そんなお悩みを抱えている方も少なくないはずです。
通常の板ガラス(単板ガラス)は、熱を通しやすく、外気温と室温の差が大きくなるほど結露が発生してしまいます。
ここでキーワードとなるのが、“熱貫流率”。
壁や窓などで両側の気温が異なる場合、温かい側から冷たい側へ熱が移動する度合いを表します。
(参考ページ:断熱建材協議会|製品別部位別熱貫流率表)
結露が防止できると、壁に残る湿気が大幅に軽減されるため、カビが発生しにくくなるだけではなく、柱などの構造体腐朽やシロアリ発生のリスクもかなり抑えられます。
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理由③ 家が長持ちする
今までは築30〜40年の住宅は建て替える、いわゆる”スクラップ・アンド・ビルド”の考えが当たり前のように定着していましたが、近年は限られた資源を有効活用し、省エネに配慮するという観点から、長寿命化リフォームが注目されています。
窓の断熱性を高めて結露を防止することは、建物の“長寿命化”につながります。
なぜなら、先ほどもお話しした結露は、家の劣化を早める天敵だからです。
木材を腐らせる腐朽菌は、木材の含水率が20%以上になると発生しやすくなりますし、日本で多く生息するヤマトシロアリは、一般的に含水率が30%以上の木材を好んで食べます。
木材の腐朽とシロアリの食害は、構造体の耐久性を大きく落とし、見えないうちに被害範囲が拡大すると、地震時などに大きな被害をもたらしかねません。
断熱窓リフォームの方法は?価格はどのくらい?
では、具体的にはどのように窓を断熱リフォームすれば良いのでしょうか?
ここでは、お手軽な方法から大きな効果が得られる方法まで段階を追って紹介します。
断熱カーテンなどの設置
最もお手軽なのは、既存窓はそのままにして断熱カーテンや断熱ブラインドを取り付ける方法です。
価格が安くご自身で取り替えができる点がメリットで、窓からの冷気や熱気をシャットアウトできます。
生地の厚さや素材、設置方法によって効果は異なりますが、熱貫流率が単板ガラスは6.15W/㎡/Kなのに対して、5.00W/㎡・K程度にまで抑えられる可能性があります。(引用:TOLI|カーテンの断熱効果と冷暖房への影響は?)
ただし、カーテンレールやカーテンの長さによっては隙間から激しく熱が出入りすることも考えられますし、カーテンと窓の間で結露が発生し、カビが発生するリスクも無視できません。
根本的な解決は難しいため、あくまでも補助的なオプションとして検討することをおすすめします。
【価格目安】※掃き出し窓の場合
15,000〜40,000円/ヶ所
断熱ガラスへの取り替え
既存サッシはそのままでガラスだけ断熱性の高いものへ取り替える方法もあります。
断熱ガラスは、複数のガラスの間に空気層(中空層)があり、それが断熱層としての役割を果たすものです。
中空層が真空になっていたり、ガラスに熱を跳ね返す金属フィルムが貼ってあったりする高性能ガラスも普及しています。
オーダーしてから納期がかかるものの、その日のうちに取り替えができるため、リノベーション時にストレスを感じることは少ないでしょう。
ただし、既存サッシが古い場合はガラス溝の幅が合わず別途部材が必要になりますし、何よりサッシ自体の断熱性はそのままなので、ガラスの枠などから結露してしまいます。
そのため、冷気・熱気の軽減には多少効果があるものの、根本的な解決にはなりません。
築20年を超える住宅や、現在窓周りの結露にお悩みの場合は、ガラス交換だけではなく窓全体のリノベーションを検討することをおすすめします。
【価格目安】※掃き出し窓の場合
75,000〜150,000円/ヶ所
インナーサッシ(内窓)の取り付け
既存窓をいじらずに窓枠へ新たにインナーサッシ(内窓)を取り付ける方法もおすすめです。
内装の補修工事などが必要ないため、比較的短時間で施工可能な点がメリット。
既存窓とインナーサッシの間に大きな空気層が生まれるため、高い断熱効果を得られます。
ただし、既存窓枠の幅によってはそのまま取り付けられない場合もありますし、頻繁に開け閉めする場所ですと、2回手間がかかるため、煩わしさを感じてしまうかもしれません。
窓の納まりや使用頻度などをじっくり考慮して、採用することをおすすめします。
【価格目安】※掃き出し窓の場合
70,000〜200,000円/ヶ所
断熱サッシ+断熱ガラスへの取り替え
最も効果が高いのが、断熱ガラス入りの断熱サッシへ取り替える方法です。
断熱サッシとは、熱伝導率(熱の伝わりやすさ)が低い樹脂を用いたサッシで、従来のアルミフレームと比べると、熱の伝わりやすさが1/1400程度とも言われています。(参考:YKK ap|窓の教科書)
この断熱サッシにさらに断熱ガラスをはめ込めば、開口部のみで捉えると新築同然の断熱性能になると言って間違いありません。
ご予算に応じて仕様を選ぶこともできますので、ぜひ施工会社へ相談しましょう。
ただし、窓サッシを変えるとなると、窓周りの壁を一度解体しなくてはいけないため、補修工事が別途かかります。
ですから、内装をやりかえる際と併せて施工するのがおすすめです。
どうしても内装補修をしたくないという場合は、カバー工法(既存窓サッシ枠に新規窓サッシ枠を被せる方法)もありますが、枠のボリュームが大きくなり開口面積が一回り小さくなってしまいますので、見た目も含めて検討しましょう。
【価格目安】※掃き出し窓の場合、補修工事別途
200,000〜500,000円/ヶ所
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窓の断熱リフォームをする際の注意点やポイントは?
窓の断熱リフォームは、目に見えた効果が得られるため、冬の寒さや夏の暑さにお悩みの方におすすめですが、工事をする前に知っておくべきポイントがあります。
ここでは、特に重要な4点を紹介します。
部屋の窓は全てセットで工事する
窓辺の寒さや暑さが気になる窓だけリフォームを検討する方もいますが、結露を解消したい場合はそれでは解決しない場合がほとんどです。
窓の断熱リフォームをする際には、お部屋にある窓全てをセットで工事しましょう。
リフォームした窓とそうでない窓があると、非断熱の窓に熱の出入りが集中し、その部分の結露が余計ひどくなることもあるからです。
結露が起きていない場合でも、空調効率を上げるためには、やはり部屋の窓を一斉に断熱改修することをおすすめします。
「遮熱」と「断熱」の違いを理解する
「南側にあるリビングは日差しが強くて暑い」そのような問題を解決したい場合に理解しておかなくてはいけないのが“遮熱”と”断熱”の違いです。
【遮熱】
日射を吸収せずに跳ね返すことを言い、開口部の場合は、屋外から室内に入る前にシャットアウトするイメージです。
【断熱】
壁や開口部を伝わる熱量を減らすことを言い、断熱材などの間で食い止めるイメージです。
つまり、窓から入る日差しによる暑さを解消したいのか、外気温による寒さ・暑さの影響を軽減したいのかによって、適切な材料が違うということです。
例えば、ガラスを見てみると、断熱ガラスと遮熱ガラスでは性能に少々違いがあります。
南面は高い位置にある太陽から日が差し込むため、庇や軒で直射日光が入るのをある程度防げます。
そのため、遮熱よりも断熱性に特化したガラスがおすすめです。
一方、西面の窓からは夕暮れ時の高度が低いところから差し込む日差しが気になることが多く、それを庇や軒で防ぐことはできません。
そのため、遮熱性のあるガラスを選ぶと良いでしょう。
このように、悩みの原因を把握して、それに合う断熱リフォームをすることが成功の秘訣です。
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家の総合的な断熱性を見直す
窓の断熱リフォームが家の断熱性を上げるための第一歩であることは間違いありませんが、築年数の古い住宅では、窓の性能を上げただけでは十分とは言えません。
なぜなら、そのほかの断熱性能が低いと、壁の内部結露などの問題が残ってしまうかもしれないからです。
そのため、築30年を超える住宅は、窓に限らず全体的な断熱リフォームを検討しましょう。
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断熱リノベーションで快適な暮らしに。改修方法や効果から補助金まで解説
補助金をもれなく活用する
地球温暖化対策やカーボンニュートラル実現に向けて、政府は住宅の省エネ化を強く推し進めており、それに伴い様々な補助金が設けられています。
特に、窓の断熱リノベーションは省エネ効果が高く、補助対象となる事業が多いため、ぜひこれらを活用してお得に工事をしましょう。
その際は、知識の豊富な施工会社へ相談するのがポイントです。
対象の商品選びや申請など、丸ごと相談できれば、いざ工事をやったのに補助金がもらえないという心配がありません。
〈2023年最新版〉関連する補助金は?
窓の断熱リフォームをする際には、国や自治体が行っているいくつかの補助金を活用できます。
そのため、リノベーションを検討する際には、どの補助金を受け取れるのかを調べておきましょう。
ここでは、主な事業を紹介します。
●既存住宅における断熱リフォーム支援事業
「トータル断熱(断熱材、窓、ガラスを用い、住まい全体での断熱改修)」と「居間だけ断熱(窓を用い、居間をメインに断熱改修)」の2種類があり、ぞれぞれ認定されたガラス・窓・断熱材・玄関ドア・家庭用蓄電システムの設置を行なった工事が対象です。
●次世代省エネ建材の実証支援事業
「外張り断熱」「内張り断熱」「窓断熱(全ての外窓)」工事が対象で、いずれかを行えば補助対象経費の1/2相当額の補助が受けられます。
●こどもエコすまい支援事業(リフォーム)
「開口部の断熱改修」「外壁、屋根・天井又は床の断熱改修」「エコ住宅設備の設置」のいずれかを行い、さらに耐震改修や子育て対応改修などを行なった場合が対象です。ただし、認定された事業者が施工しなくてはいけません。
●長期優良住宅化リフォーム推進事業(リフォーム)
こちらは断熱改修だけではなく、構造体の劣化対策や耐震改修も申請条件となっています。また、リノベーション前にインスペクション(建物診断)を受けなくてはいけません。
ただし、これらの事業は全て国や財団の予算によって実施されているため、毎年募集があるかも定かではありません。
また、年度の途中で予算に達してしまえば、締切を待たずに打ち切られてしまいます。
そのため、補助金を使って工事をしたい場合は、申請に慣れた会社へ相談してください。
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まとめ|窓の断熱性を高めて快適な住まいに
家の断熱性は、快適で健康的な暮らしには欠かせない要素です。
その性能を高める第一歩としておすすめなのが、窓の断熱リフォームです。
冬の寒さや夏の暑さが気になるという方は、ぜひ豊富な知識のある施工会社へ相談してください。
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